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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

20年で財産は半分に、、。相続したお金2億円はどこに消えたのか?

 

■母親が亡くなっているため代襲相続人

Iさん(30代男性)が相談に来られました。祖母が亡くなり、相続税の申告が必要になったので相談したいということです。

相続人は祖母と同居していた叔母とIさんと弟の3人です。本来の相続人であるIさんの母親(祖母の次女)が祖母よりも先に亡くなっているため、Iさんと弟は母親の代襲相続人となります。よって30代ながら、当事者として祖母の相続と関わらないといけないという立場です。

 

■20年前の相続

祖父は20年前に亡くなっており、そのときは祖母、長女(叔母)、次女(母親)の3人で相続しています。大正生まれの祖父は大学を出て、生命保険会社に就職、海外や日本を転勤しながら勤め上げ、役員にもなってリタイヤしています。

日本も成長期の時代で、株や保険を持ち続けて自分で築いた財産と、親からも金融資産を相続したようで、結果的には金融資産で9億5000万円。不動産は自宅のみで5000万円。合わせて10億円の財産を残したのでした。不動産は自宅のみで約5%、他の95%は預金、株、保険などの金融資産となります。あり、法定割合で相続しています。


■20年後に祖母が亡くなった

Iさんは20年前の祖父の相続税の申告書を持参されていましたので、確認すると、

祖母5億円、叔母と母親が2.5億円ずつの法定割合で相続をしています。

相続税は2億円。祖母には配偶者の税額軽減の特例があり、納税は不要です。2人の子どもは相続した金融資産から納税できる内容です。

結果、祖母が相続した5億円の財産から相続税を払うことはないため、そのまま残っていてもいいということになります。ところが、Iさんが言われるには、祖母の財産は2億5000万円程で、想定よりも少ないというのです。

 

■20年間に祖母が消費したものは?

祖母は専業主婦でしたので、祖父が亡くなった後は年金が主な収入でした。けれども祖母1人が生活するには十分な金額だと言えます。

大きな出費と思われるものは、自宅の建て替えだと言います。祖父から相続した自宅は50年前に建てたものでしたので、相続してから祖母が二世帯住宅に建て替えています。借入はないため、現金で建てたようですが、祖母と叔母家族(夫婦と子供2人)が住む4LDKの家で、5000万円程度だと想定されますので、少なくとも4億円以上は残っていていいはず。

ところが、今回、祖母の財産を確認すると不動産は自宅のみで変わらず、金融資産は2億円程度で、どうも少ないという印象だと言います。

 

■消えた2億円の行方は?

祖母は5億円相続しており、家の建て直し費用は5000万円程度と想定され、本来は4億5000万円の財産が残っていてもいい計算になります。ところが現在確認できているのは2億5000万円。自宅不動産の土地建物評価は5000ほどですので、金融資産が2億円少なくなっているということになります。

祖母の財産の残っていないということは消費した可能性もありますが、不動産など他の資産として残っていないため、何かを購入した証拠はないとなります。

つぎは、贈与が疑われるところで、大きなお金の動きがあれば、亡くなった時に残っていなくても、引き出された預金は相続財産として加算して、相続税を収めることになります。

 

■3年以内の贈与は相続財産

預金から引き出された現金は、本人が消費したということでなければ、贈与されたものとみなしますが、相続になる前の3年分は法定相続人に贈与されたものは相続財産に加算する必要があります。

2024年1月1日からは相続前7年間に遡るという内容に改正されましたが、令和8年12月31日の相続までは3年が適用、その後、7年が適用されることになります。

Iさんの祖母は2024年に亡くなっていますので、贈与として加算するのは相続になるまえ3年間でよい範囲となります。

 

■預金は3年~7年の動きを調べる

相続税の申告が必要な場合、預金は口座ごとに残高証明書を取得して証明していきますが、残高に含まれていない、すでに引き出されたり、贈与された財産も相続前3年間は加える必要があります。

相続税の税務調査は、亡くなった人の預金口座から、子どもや孫の口座に移されていることを調べ上げて、追徴課税をするために行われることが大半だと言われています。

Iさんの祖父が財産の半分が祖母に相続されたこと明らかですので、税務署は財産のもとを把握しているというえことになります。

相続税の申告をする場合は、税務調査にならないように、事前に亡くなった人の預金口座は少なくとも3年、できれば5年から7年は通帳や取引明細をもとに入出金を確認していきます。

生活費の消費程度であれば問題がないところですが、祖霊所のまとまった金額が引き出されている場合や、他の口座に移されている場合は、相続財産として申告しておくことで税務調査は避けられるのです。

 

■祖母は公正証書遺言を残していた

祖母は90代で亡くなりましたが、10年前に公正証書遺言を作成していたことも叔母から聞かされました。叔母から渡された公正証書遺言は、祖母の預金口座があるМ銀行が遺言執行者として作成されていました。

生前には聞いていなかったのでIさんと妹は複雑な気持ちでしたが、さらにその内容には愕然としたといいます。「財産の配分は叔母が4分の3、Iさんと妹はそれぞれ8分の1」とされていたのです。

同居してきた叔母には感謝しているものの、このような差があるとは釈然としないため、叔母と話をして、祖父の時と同様に法定割合で分割しようという合意を得ることができたといいます。

そうしたタイミングで当社に相談に来られましたので、全員の合意も得られて、夢相続で、相続税の申告のコーディネートを引き受けることになりました。相続に強い税理士を選定し、情報共有しながら分割や申告など進めていきます。

 

■遺言を執行しない場合はこれから遺産分割協議

公正証書遺言は優先されるものの、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をして遺言書とは違う分け方を決めることができます。

これから遺産分割協議をするにしても、ポイントになるのは金融資産の2億円がどのような減り方をしたかということです。これから預金口座の通帳や明細を用意してもらい、確認するようにします。相続税の申告を控えている場合は、主に税理士がその確認作業をしますが、夢相続では財産の分割案をご提案する役割ですので、税理士と情報共有しながら進めていくようにします。

財産の持ち戻しがあれば、相続税も増えますが、疑心暗鬼の要素を残さないためにも確認しておく必要があります。

 

■まとめ 夢相続でできること

夢相続では亡くなった時の相続コーディネートを担当して、不満や争いにならないような相続手続きをサポートしています。主な項目は下記となります。

 

・相続座財産の確認
・金融資産の流れの確認と整理
・遺産分割案の作成と提案
・遺産分割協議の合意を得て、作成、調印
・相続税申告の内容の確認
・不動産の相続の仕方や活用の提案  
税理士、司法書士などの紹介と連携 など相続に関わる全般

 

内容はオーダーメードで対応する必要があり、今回のIさんの場合は、財産の確認をしながら、相続人それぞれの意向を汲み取って分割に反映していくようにします。



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