事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
共有解消と節税のための資産組替。3人の子どもにはどう渡す?
◆親から不動産を相続
Mさん(70代・女性)が相談に来られました。図書館で本を読んで相談してみようと思ったということです。
3人の子供がいて、現在は長女家族と同居しています。夫とは15年前に離婚。自宅は父親が買ってくれていてMさん名義でしたので、夫が家を出ていく形で困ることはなかったようです。
Mさんには妹がいて、二人で実家の不動産を相続しています。しかし、二人とも嫁いで実家を離れていたため、母親が亡くなった後は荷物を整理して貸家として賃貸しています。
また、実家の裏に4世帯のアパートがあり、満室稼働しているので家賃収入を得ることができ、生活には困らなかったといいます。
◆80歳になる前に
Mさんは現在78歳。まもなく80歳になろうかという年代ですので、3人の子どもが困らないように相続のことを考えておきたいというのがご相談の内容でした。
所有する不動産は路線価評価が4500万円の自宅と路線価評価が2500万円の実家不動産の2ヶ所です。預貯金と金融資産は5000万円あり、合わせて約1億2000万円となります。
更に3人の子どもには相続時精算課税制度を利用してそれぞれに合計3000万円の現金贈与をしています。
相続税は1440万円となり、自宅の小規模宅地等の特例を適用しても900万円ほどの相続税がかかるという試算になりました。
◆実家不動産はどうする?
実家不動産は妹と共有名義であること、住んでいる自宅からは新幹線で行かないといけないことなどから、持ち続けるのは子どもたちに負担がかかることが想定されます。
今は家賃が入りますが、建物の築年数が経つにつれ修繕費もかかり、空室リスクも高まります。
そのため、満室である今のうちに賃貸物件として売却し、妹と分けることが共有解消にもなり、子どもへの負担を減らすことができると言えます。
◆節税と分割を考えた対策も必要
実家不動産が売却できて現金になったら一安心となりますが、それでは相続税を減らすことにはなりません。そこで今度は住まいに近いエリアで賃貸物件を購入しておくことをおススメしました。
自宅は長女家族が住んでいて分けにくいため、長女に相続させることが無難だと言えます。
更にこれから実家の売却代金に金融資産を足して、次女と長男に賃貸物件を渡せるように用意した方が良いこともご提案しました。賃貸物件を購入しておくことで評価は時価の30%程度に下がり、相続税を減らすことができます。
◆遺言書も必要
子ども3人は仲が良いということですが、まだ先の相続になると円満にいくとばかりはかぎりません。Mさんの財産をぴったり3等分するには長女家族が住む自宅を売却するか、長女が代償金を用意することになるため、まとまらない可能性もあります。
そうした不安を解消し、子どもたちが争わないための遺言書が必要になります。
遺言書により相続のさせ方を決めておくとMさんの意思が実現し、余計な争いは避けられるため、特例が使えて節税もでき、スムーズな手続きができます。
◆まずは相続プランから
Mさんはどういう順番で対策をしていけばいいか、そのあたりからサポートしてもらいたいということで、「相続プラン」のご提案をすることの委託を頂きました。これからご提案、サポートをしていきます。
Mさんは「今まではなかなか決断できなかったけれど、今回は対策を進めていきたい」と前向きに取り組んで頂けそうです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒相続プランを作り、これから取り組む相続対策を整理する。
不動産の共有を解消するため、売却、資産組替をする。
3人の子どもたちが争わないよう遺言書の作成が必要。
●注意ポイント⇒3人の子どもにぴったり3等分する分け方は自宅があるため、難しい。
できるだけバランスを取りながらも、遺言書で分割を決めて理解を得ることが望ましい。
最初のご相談は無料です。
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