事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
3兄弟で実家を共有。売却して分けたい兄 VS 実家を残したい弟
■実家を3兄弟で共有した
Yさんは3人兄弟の末っ子です。
父親は10年前に亡くなり、母親が実家で1人暮しをしてきました。
3人とも比較的近くに家を買って住んではいますが、同居はしていません。
2年前に母親が亡くなり、相続手続きをするときに、3兄弟で共有名義としました。
空き家になるものの、お仏壇があり、
法事を行うにも実家はあったほうがいいとので、とりあえず共有名義にして、
落ち着いたら分け方を決めようということになったのです。
■そろそろ分けたい
2年経って、母親の3回忌も終えましたので、そろそろ実家を分けようという話になりました。
兄2人は売却して3等分にすればいいという意見ですが、
Yさんは生まれ育った実家は残していきたいという気持ちが強くなりました。
Yさんは実家まで徒歩5分程度のところに住んでいて、
誰よりも母親のサポートをしてきましたので、兄たちもYさんのいうことは無碍にできないようです。
Yさんがそうした気持ちならば、
売るのはやめてYさんが住むようにするならいいと言ってくれたのです。
■具体的な方法はどうする?
兄たちから同意は得たものの、具体的にどうすればいいかわからないため、
当社に相談にこられました。
方法は、贈与、売買、遺贈の3つありますが、
贈与も遺贈も兄たちには対価が入りませんので、やはり、選択肢は売買と言えました。
次は価格の決め方ですが、基本は路線価ですが、
流通している時価が路線価よりも下回っている地域であれば、
固定資産税評価程度までは問題がないと言えます。
Yさんの実家のある地域は路線価以下の取引事例が多いため、
固定資産税評価額を採用して、3分の1ずつを2人の兄に払うことになります。
こうした方針で兄から合意を得て、Yさんは売買することになりました。
いまの自宅は娘家族に渡し、夫婦で実家に住むようにして、実家を守っていくと
Yさんは話しておられました。
■取得税も、譲渡税もかかり、登記費用も相続より高い
兄弟で売買をした場合、売った兄は譲渡税がかかり、来年、確定申告をして納税が必要です。
買った側のYさんには不動産取得税がかかり、納付書が送られてきます。
仮に、相続のときに先を見越した話し合いをし、実家はYさんが相続し、
兄2人に代償金を払うとしていれば、譲渡税も取得税もかからず、
登記費用は通常の1/5で済んだのでした。
相続コーディネート実務士から
とりあえずということで、安易に実家を共有することはお勧めできません。
最終的な相続の仕方を決めてから登記をすれば無駄な費用や税金がかかりません。