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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

12年前から対策。資産組替、賃貸事業。相続プランも継続して見直しが大事!

■12年前のお客様が夫婦で共有

Yさんご家族が相談に来られました。Yさんご夫婦は12年前に相談に来られて、相続プランのご提案とサポートをしたお客様です。以前のご提案から12年経ち、Yさんは90代に、奥さんも80代後半になられています。ふたりの娘さんは40代で、ふたりともまだ結婚はされていません。

これからの相続は、どちらが先か、順番もわかりません。このままでいいのか、なにかしておくことがあるのか、とアドバイスしてもらいたいということで、再度、現在の評価をして、相続税の試算を出し、課題を整理し、これからできる対策を提案することにして、有料業務である「相続プラン」の委託を頂きました。

 

■相続した家はあるが、東京にも家を

Yさんご夫婦は関西の出身で、長男のYさんは実家を継いでいます。上場企業をリタイヤしたあと、2人の娘がともに東京で仕事をしていることから、東京にも家があった方がいいと思い、それぞれが費用負担をして都内に家を購入されています。相談に来られた当時は、すでに関西の家は置いたまま、東京に住み替えておられました。

関西の家を置いておくのは理由がありました。Yさんは先代から実家だけでなく、貸倉庫、賃貸アパート、駐車場、貸家などいくつもの不動産を相続されています。すべては実家の周りにある不動産ですので、その管理もあり、月のうち3分の1程度は元の家で生活している状況でした。

 

■12年前に相談に来られたワケ

Yさんの奥さんは両親と養子縁組をしており、父親が亡くなったときに実家や不動産はすべて共有で相続しています。そのほうが財産が分散されて、節税になると考えてのことだとYさんは言っておられますが、まさにそのとおり。

Yさんご夫婦の財産の合計は当時、4億円以上の財産を保有されており、Yさんが6割、奥さんが4割に分けるなど相続対策を意識しておられました。

けれども2015年からは相続税の改正が行われるということが決まり、いよいよ相続対策をしておかないといけないと思われて、相談に来られたのでした。

 

 

■2015年(平成27年)相続税の改正とは?

相続税の改正があり、平成27年1月1日から相続税の基礎控除が縮小されました。

改正前 5000万円+1000万円×相続人の数

改正後 3000万円+600万円×相続人の数

このように、基礎控除は6割に縮小されましたので、

改正前は、相続税の納税割合は4%(100人亡くなると4人)程度でした。しかしこの改正により、倍増すると想定されていました。それが現在では、納税割合は亡くなった人の9%台となり、想定した倍増を超える結果となっています。

 

■相続プランの提案で決断して節税できた

相続税の改正を踏まえて、Yさんご夫婦にご提案をした「相続プラン」により、進めた対策の結果は次のとおりです。

 

◇Yさんの相続プラン

依頼者   Yさん(男性・70才代)・職業 賃貸業

家族関係  夫(本人)、妻、長男、長女    

 

[相談内容]

Yさんは現在東京で夫婦2人暮らしをされています。Yさんの財産は東京のご自宅以外に、親から引き継いだ地方の不動産を複数所有しておられます。今後、相続が起こった場合に、どの程度相続税が課税されるのか、また生前にどのような対策をとることが出来るのか、相談に来られました。

 

[現状の課題とご提案]

◇課題 

・多額の相続税が予想される為、相続税の節税対策と納税対策が必要

・地方に活用されていない不動産がある

・2人の子供に対して分割対策が必要

 

◇課題を解決する提案  

[活用されていない地方の不動産を売却する]

地方に複数の不動産を所有しておられますが、その中で2か所の不動産が空き地の状況となっておりました。以前は、地元の企業に借地しており収入がありましたが、現在は収入もなく固定資産税等の支出があり、負担になっています。

そこで、まずは2カ所の土地についてアパート経営等の活用を検討しました。調査の結果、2か所の空き地は最寄駅からも徒歩15分以上あり、賃貸需要は飽和状態となっており、その土地に新たな借り入れをしてアパート経営を行うことはリスクがあると判断し断念することを提案しました。

次に売却することを提案しました。複数業者の中から地元の建売業者から購入希望額を出してもらい、納得できる価格で売却する見込みができました。

Yさんは土地活用ではなく、売却を決断され、進めることができました。

2か所の土地は合わせて1億円で売却することができています。

 

[売却した資金で都心の不動産に買い替えする]

2か所の土地を売却して現金で保有をしてしまうと相続税の節税にはなりません。今回は相続評価額以上で売却できたことから、現金が増えてしまい、節税対策は逆効果になり、増税となります。

そこで売却代金を元手に、お住まいの東京で、土地を購入して賃貸マンションを建築することを提案しました。または、築年数がそれほど経っていない賃貸アパートも合わせて検討するようにしました。

結果的には10以上の物件を比べて、賃貸アパートの売り物件の立地がよいとなり、決断されました。現金の余裕も残したいということになり、自己資金は3分の1、借入3分の2としました。

購入され賃貸アパートは1億2000万円。自己資金4000万円、借入金8000万円としました。

 

◇対策実行後の節税効果 

地方の活用されていない2か所の土地は、そのまま保有していると支出のみで収入もなく、相続税の評価も自用地評価となり全く節税できない状況でした。

今回売却代金を東京の賃貸アパートに買い替えをすることで、土地評価は貸家建付地評価となり、建物は貸家評価となりますので、購入した時価の4割程度の評価となりました。また購入代金の一部を金融機関から借入をすることにより、相続財産からマイナスすることができたことで、大きな節税に繋げる事ができました。

現金の余力を残したこともありますが、相続税の想定額3000万円のところ、1000万円まで減額できて、大きな不安はなくなったと言われていました。 

 

☆ここがポイント

・活用されていない地方の不動産を思い切って売却する

・売却代金を元手に都心の不動産に買い替えすることで、収入を上げながら相続税の節税をする

 

■12年後の現状分析と課題は?

「相続プラン」のご提案から12年経ち、現状がどうなっているかを試算したところ、東京の路線価が上がり、預金も残っているため、相続税は1.5倍になっています。けれども、自宅や貸付用の小規模宅地等の特例が使えるため、納税は半分程度になります。また、旧自宅の他は、未利用地はなく、適切に賃貸事業をされているため、大きな問題はありません。

これからの課題は、賃貸事業における建物の維持やリフォーム代の増加と費用対効果を比べながら、建て替えの準備が必要になることです。

いまのところ、地方よりは東京の地価が安定、上昇しているので、売却して東京に移すことも選択肢のひとつではありますが、相続した不動産の取得原価は5%しかないため、確実に譲渡税が発生します。費用対効果を考えると現状維持するほうが目減りが少ないというのが結論となりました。

 

■まとめ

Yさんの相続対策は12年前からということで、未利用地の資産組替により、節税効果が生まれていることが明確になりました。まだ借り入れは半分残っていますが、家賃から返済できるので、むしろ、ゆっくり返済するくらいにして借入はかかえているメリットはあります。

賃貸事業の継続により、土地評価が下がり、小規模宅地等の特例も使えます。

 

また、自宅を東京から地方に移そうかというご相談もありましたが、評価減を比べると自宅は東京の方が効果的ですので、それも現状維持とアドバイスしています。

Yさんも90代、奥さんも80代後半ということで、12年前からスタートしておいてほんとうによかったと言っておられました。当時、売却、購入を決断して頂いたお陰で大きな節税効果は作れています。

 

90代でも、80代でも、意思確認ができ、決断して頂ければ対策は進めることができますが、やはり、認知症問題なども懸念される年代ですので、ハードルは高くなります。とにかく、早めの対策が必要と言えます。

 

さらに、賃貸事業をされていると現金が増えてしまうため、毎年、財産を見直し、現金や不動産の贈与をするとか、継続した対策と実行が必要になります。

Yさんご家族は、今回の「相続プラン」により、方向性が間違っていなかったと安心され、賃貸事業の見直しや贈与もアドバイスしてもらいたいと言われています。さらに遺言書のご提案もする予定で、継続してサポートしていきます。

 

 

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