事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

不動産の共有も選択肢にするしかない!

◆父親が亡くなった

Sさん(50代女性)の父親が亡くなり、姉(60代)と弟(50代)の3人で相続の手続きをすることになったと姉とSさんのふたりで相談に来られました。母親はすでに亡くなっています。

 

父親の財産は自宅と敷地内にあるアパートで、まだ借り入れが残っているため、相続税の申告は不要だとわかりました。Sさんと姉の心配事は実家不動産のことです。

 

 

◆土地が共有

実家は父親の他に、長男家族が住んでいますので、長男が相続することが現実的ではあります。姉は他県に嫁ぎ、簡単には来られない距離で生活していますし、Sさんも一時間ほど離れている立地。姉もSさんも夫名義の自宅で家族と生活していますので、いずれにしても同居する長男が実家を相続するのが望ましいところです。

 

土地はもともと母親が親から相続した借地で、底地を父親が借り入れをして購入しており、まだ借入金が残っています。母親が亡くなった時に弟が相続しましたので、父親60%、弟40%の割合となりました。

 

◆不安材料

父親は遺言書を作らなかったため、これから3人で遺産分割協議をするのですが、不安材料が出てきたと言います。実家は弟夫婦と3人の子どもが住んでいましたが、父親が亡くなる前から弟の妻が3人の子どもを連れて実家に戻ってしまっているというのです。

 

姉とSさんは、実家は同居する弟が相続するものと了解するつもりでいましたが、少し状況が変わってきました。

 

弟夫婦が離婚して子どもたちが家を守る気持ちが薄れるとお墓のことなども任せられなくなりそうです。離婚しなくても夫婦円満でなく、弟が先に亡くなることがあると、実家といえどもSさんと姉の権利はありませんので、嫁の家になってしまうことは不本意です。

 

◆実家やお墓を守る

弟夫婦の現状を見ると実家とアパートを全部、弟名義にするには不安があるため、どうすればいいかというのが姉とSさんのいちばんの相談事でした。

 

実家をきょうだいで守っていくということであれば、父親の名義を姉かSさん、あるいは2人にすることで、3人の共有となります。すでに弟名義があるため、弟の相続では妻子が相続人ということに変わりはないのですが、それでも長男の妻と子どもだけのものとなるよりは歯止めがききます。

 

ただし、共有者があるだけでそれぞれの相続を考えると関係者が増えるため、ある時期に売却して共有解消する必要があるといえます。

 

姉とSさんは、自分たちの不安を解消するには実家を共有しておくことが選択肢だと整理され、弟と話し合ってみますと帰られました。

 

 

◆相続実務士のアドバイス

●できる対策 

弟の配偶者や子どもだけの所有にしないためにきょうだいで共有しておくことができる

 

●注意ポイント

不動産の共有は相続で共有者が増えることになり、意思決定が簡単にはいかなくなるため、将来は売却して分けるなどのルール決めをしておくようにしましょう。

 

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