事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
作られたら、次を作る!遺言書は新しいものが有効
◆実家は誰が?
Kさん(60代男性)が相談に来られました。父親はすでに亡くなっていて、一人暮らしをしていた母親はほどなく90歳になります。Kさんは仕事の関係で他県に住んでいますが、母親の様子を見るために、毎月のように実家に帰っています。
3つ上の姉がいるのですが、結婚して夫の家に住んでいますので、実家を継ぐのは長男のKさんだと言われて育ってきました。
◆母親は介護施設に
昨年、母親は家で転んで骨折してしまい、しばらく入院生活となりました。そうなると歩くことが大変になり、以前のように一人暮らしはできなくなったのです。
病院から自宅に帰るところが、介護施設へ入ってしまい、気軽に行き来ができない時期がありました。自宅の人の暮らしよりは介護の専門家に依頼しているので安心というとこもあり、実家に帰る期間も空いたりしていました。
◆母親に遺言書を
2か月ほどして母親に会う機会があり、そのときに母親から「姉夫婦に遺言書を書け」と言われて、姉夫婦が用意してきた原稿のとおりに書かされたというのです。
自宅は姉とKさんが2分の1ずつという内容だと言います。その遺言書は母親の手元にはなく、おそらく姉夫婦が持っているのでしょう。
それを聞いたKさんは激怒。姉夫婦が、自分たちが有利になるよう、母親に遺言書を書かせるとはもってのほか。許しがたい気持ちになりました。
◆次の遺言書を作る
母親は姉夫婦に書かされた遺言書は不本意で、自宅はKさんに相続させたいと言っています。そこで、Kさんは母親の意思を確認できたので、自宅はKさんに相続させるという内容の遺言書を書いてもらいました。
遺言書は新しく作ったものが優先されますので、姉夫婦が作らせた遺言書から後に作ったものが優先されるので、本来の母親の意思が生かせるのです。
◆公正証書にしたい
自筆の遺言書を作成してもらったものの、万一、無効になるかもしれないという不安もあるので、どうすればいいかというのがKさんのご相談内容でした。
自筆の遺言書は、家庭裁判所の検認が必要になり、無効になれば姉に作らされた遺言書が有効になり、不本意です。
しかも、自筆だと内容が有効だとしても、後から無効の裁判を起こされて取り消しされることもあるかもしれません。
幸い、母親は認知症ではなく、意思が明確ですので、公正証書遺言にしておけば安心だとアドバイスしました。Kさんはコロナが落ち着いて施設に行けるようになるタイミングで公正証書にしてもらえば安心なので、そうしたいと言われています。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
母親に公正証書遺言を作成してもらう
自宅の共有は避ける
●注意ポイント
母親の意思を生かした遺言書とし、付言事項に内容も書いて姉に納得してもらえる配慮が必要。
遺留分には抵触しないようにもしておく。
最初のご相談は無料です。
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