事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
弟、妹に預けた預金を戻してもらいたい!?
◆親と同居してきた
Sさん(60代・男性)が相談に来られました。父親が亡くなった時にどのようにすればいいか、自分なりの考えがあるのでアドバイスをもらいたいということです。
Sさんの両親は90代で、平均寿命を過ぎて長生きされています。25年前に両親の老後を考えて、Sさん家族が同居するようにしました。
父親とSさんがお金を出し合って二世帯住宅を建てて、Sさんの子どもたちも含めて3世代でにぎやかに暮らしてきました。
Sさんの弟は同じ市内に住んでおり、妹は他県に嫁ぎました。
◆父親の預金を預けてある
父親の財産は自宅の土地、建物の持ち分1000万円と預金1500万円で、相続税の申告は不要です。母親も90代のため、仮に父親が亡くなった時に母親が健在だとしても二次相続を考えると、子どもたち3人で相続したいとSさんは言われます。
両親は80代半ばから介護が必要になりましたので、預金口座も同居するSさんが預かるようになりました。ほどなく、弟から使い込んでいるのではないかとあらぬ疑いをかけられたため、癪に障ったSさんは父親の預金から弟に1000万円、妹に400万円預けたと言います。よって手元の通帳には100万円程度しかありません。
◆現金を戻してもらいたい
同居を始めた時、Sさんはローンを借りて家を購入しています。共有名義の家の固定資産税や光熱費などもSさんが負担してきましたので、同居によりかかった費用やローン負担は全部書き出してメモをしているといいます。
父親が亡くなった時に、Sさんが負担してきたローンや出費について、寄与分として差し引きたいができるかという質問でした。
さらに弟と妹に預けたお金はあくまで預け金で、戻してもらいたいと考えているということでした。
◆ローンは自宅用
二世帯住宅の購入のためのローンはSさん名義の部分のものです。父親の家のためではなく、自分の自宅用と言えますので、寄与分として差し引いたり、父親への貸付金とすることはできないことを説明しました。
つぎに預け金ですが、父親の財産2500万円だとして、葬儀費用などを差し引くと正味2400万円だとすると3分の1は800万円となります。
現実的な分け方を考えると、自宅はSさん、預金を弟、妹で分けるとなると、Sさんと弟が妹に200万円代償金を払わなれければならないとなります。
同居しているだけでは寄与分とならず、基本は法定割合となるからです。
明確な理由があれば、預け金を戻してもらうこともできなくはありませんが、いまのところの説得材料がないと言えます。
父親はすでに認知気味で遺言書も作れないとのこと。Sさんには、細かな数字で自分に有利な分割をしようとするのではなく、現状を受け入れて円満な分割をすることを考えられるようアドバイスをしました。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
二世帯住宅は共有者が相続できるようにして、きょうだいの共有は避ける
細かい数字で寄与分にするのは逆効果と考えて持ち出さない
●注意ポイント
分割協議がまとまらないと不動産の名義も変えられない。
お金を取り戻そうとするよりは不動産の名義を取得することを優先に。
最初のご相談は無料です。
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