事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
成年後見人は聞かないと財産目録も教えてくれない!?
◆父親には成年後見人
Aさん(50代・女性)の父親(80代)が亡くなり、相談に来られました。母親はすでに亡くなっていて、相続人はAさんと妹の二人です。
母親が亡くなって父親は一人暮らしをしてきました。Aさんも妹も嫁いで、実家と離れたところに住んでいます。
父親は80代半ばから認知気味になり、一人暮らしが不安になりました。そこで、ヘルパーさんからのおススメもあり、3年前に家庭裁判所にから成年後見人の弁護士を選定してもらいました。
こうして成年後見人に財産管理をしてもらうとともに、高齢者住宅へ住み替えもしてもらい、Aさんも妹も安心できたといいます。
◆父親が亡くなった
今年になり、父親が亡くなりました。Aさんと妹の二人で相続手続きをすることになりますので、そのこともアドバイスしてもらいたいということです。
父親の財産は空き家になっている自宅と預貯金です。自宅だけでも5000万円になるため、相続税の申告が必要な財産だと確認できました。あとは預金ですが、亡くなって間もないので、まだ把握できていないといいます。
成年後見人が財産管理をしている場合、家庭裁判所に定期的に報告する義務があります。亡くなったことで業務が終了しますので、財産目録を作成し、相続人に預金通帳など預かった財産を引き渡すことになります。
財産目録をもらっているかとAさんにお聞きしますと、亡くなった後成年後見人の弁護士に一度面談をしているが、そうした話はなく、なにももらっていないというのです。
◆成年後見人
Aさんが成年後見人の弁護士に財産目録を依頼したところ、下記のメッセージが来ました。
「財産目録は成年後見業務の終了報告の際に作成して家庭裁判所に提出しておりますが、法定相続人の方に当然にお渡しするものではありませんので、今回の引継書類の中には含めておりません。内容としては、今回の引継書類(通帳、保険証券、投資信託の残高証明書等)に記載されている内容を一覧表にまとめただけのものでして、特別な内容が記載されているものではありませんが、必要であれば、コピーをお渡しすることは可能です。」
◆聞かないと教えてくれない
成年後見人からそうした返事があり、Aさんは大変、驚いたということですが、改めて家庭裁判所に提出する財産目録を、Aさんと妹にも送ってもらうように言ったと報告がありました。
成年後見人からは、「最終的な報告書は亡くなってから3か月以内に家庭裁判所に提出することになっており、まだ、これから作成するので、作成が終わったらお送りします」という返事がありました。
Aさんは、こちらから言うまでは財産目録があるとは知らせてもくれずに不親切だと言っておられました。
成年後見人には相続人の不安や心配を寄り添い、解決していこうという働きはなかったようで、残念に思うところです。
Aさんには財産目録が届けば財産の全体像が確認できるので、改めて財産の総額と相続税の概算が確認できることを伝え、連絡待ちをすることにしました。
Aさんは財産目録のことをアドバイスしてもらって良かったとすこし安心されたようです。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒財産目録を取得して財産総額の確認をする。
成年後見人に財産目録を請求する。
●注意ポイント⇒成年後見人は亡くなった人の財産管理が業務で、
その後の相続手続きはお願いすることはできません。
相続手続きを依頼する専門家は別に探す必要があります。
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