事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
未入籍で40年。事実婚なら相続できる!?
◆事実婚
Yさん(80代・男性)は先妻に子どもが2人います。その後、事実婚のAさんとの間にも2人の子どもに恵まれています。
先妻との結婚生活が破綻していたのですが、先妻が離婚に応じてくれなかったことや先妻の子も離婚に反対していたためにAさんとは事実婚となり、40年が経過しました。
昨年、先妻が亡くなったことから、ようやく前向きに相続の対策をしておかないと思い、セミナーに参加され、個別相談も希望されました。
◆事実婚に相続権はある?
Yさんの考えでは、配偶者が亡くなったので、自分の相続人は事実婚の妻と、先妻の子2人、事実婚の妻との子2人だと思うと言われました。
事実婚の妻との子どもはYさんが父親として戸籍に記載されていますので、実子であり、相続人です。
ところが、事実婚の妻は入籍していない場合は、配偶者としては認められないのです。よって、このままでは、Yさんの相続人は、実子4人だけとなってしまうのです。
◆遺言書で遺贈は?
先妻の子どもと事実婚の子どもは面識もあり、全く知らないということではないといいますが、それでもYさんが亡くなったあとでは円満な話し合いができるかどうかは分かりません。
そこで、遺言書は必須だとアドバイスしました。
Yさんからの質問に、遺言書を作るのであれば、そこに事実婚の妻に渡す財産を記載すれば問題はないのでは?というものがありました。
遺言書で事実婚の妻に財産を遺贈することはできますが、問題は相続税です。配偶者であれば財産の半分か1億6000万円までは無税という特例があり、優遇されていますが、事実婚の場合はそうした特例は認められません。
◆相続税が2割増し
Yさんの財産は自宅と金融資産で約3億円。有価証券が大半ですが、相続税がかかります。配偶者であれば納税はいらなくなるのですが、未入籍のまま遺贈を受けた場合は、全体の相続税4580万円となり、半分を遺贈した場合、相続税は2290万円だけでなく、458万円の割増しとなり、2748万円を払わなければなりません。
結果的には相続人である子どもたちだけの相続税よりも458万円は多く払う必要があります。
◆戸籍の重要性
そうした説明をしたところ、Yさんはようやく納得されて、前妻の1周忌が過ぎたら、子どもたちに話をして、Aさんを入籍するように手続きをすると言って帰られました。
Aさんが配偶者となった戸籍をもとに公正証書遺言を作成するという順番になります。
配偶者となれば特例が生かせることなど子どもたちにもメリットとなりますので、反対する人はないだろうと言っておられました。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒事実婚では配偶者とならないため、入籍しておく。
先妻の子と事実婚の子が争わないよう、遺言書を作成する。
●注意ポイント⇒事実婚の妻に遺贈で財産を残すことはできるが、相続税の納税が必要になり、
2割増しになるため、入籍して配偶者にするメリットは大きい。
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