事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
ビルは会社名義。株を相続しないと権利がなくなる?
◆父親が亡くなり、相続
Rさん(50代女性)の父親(80代)が亡くなり、母親(80代)と兄(60代)と3人で相続手続きを進めています。父親には遺言書がないので、3人で遺産分割協議をすることにしていますが、兄が詳しい話をしてくれないため、不安になり、相談に来られました。
◆会社もある
父親は所有地の立地を生かして飲食店を経営しており、成功してきました。兄もRさんもお店を手伝ってきており、会社の役員にもなっています。当初は母親が経理をしていましたが、70歳になったころから経理はRさんが担当してきました。
会社は土地の立地を生かして5階建てのビルにし、1階は自社で使っていますが、2~5階は賃貸してきました。築30年になりますが、立地の良さが幸いし、満室稼働しています。
◆兄の意見
父親は遺言書を残していなかったので母親とRさんと兄の3人で遺産分割協議をして決めないといけないのですが、手続きは兄が中心になって進められています。会社の代表者がいないと困るため、役員会議を開いて兄が代表者となり、父親に支払う退職金の額も決めました。
父親の持つ会社の株は全体の80%。残り10%は母親、兄とRさんで5%ずつという割合です。父親の株を兄が相続したいということで、高齢の母親とRさんには現金を渡すことでどうか?というのです。
◆Rさんの不安
Rさんは父親の会社の役員になって、ずっと仕事を手伝ってきました。代表者が兄に変わったとしてもいままでどおりに仕事をしていきたいと思っているのですが、兄が株主になると兄の都合のいいように、Rさんのお給料を減らしたり、辞めさせたりするのではないかと不安だといいます。
株主は経営陣を入れ替えたりすることもできるため、父親の株の全部を兄が相続すると、Rさんの不安が的中しなくもないと言えます。
◆遺産分割協議の希望
Rさんの不安をなくすには、兄とRさんが父親の株を半分ずつ、あるいは兄が60%、Rさんが40%程度の割合で持ち、Rさんが会社の運営にも参加できるようにすることが必要でしょう。 ところが兄は株を分散すると会社の運営が複雑になるという理由で、父親の所有する株は全部、自分が相続するという意見を曲げないというのです。
◆解決策
Rさんは、兄が会社の代表者になり、運営をしてくれることに異論はないのです。自分の立場と収入を守りたいということが希望と言います。
そこで、兄の希望は承諾した上で、兄とRさんで合意書を作成して、兄に約束してもらうことで遺産分割協議をすることを提案しました。
兄もそれについては、合意するということで、円満に遺産分割協議ができたのでした。
相続実務士のアドバイス
■相続実務士のアドバイス■
●できる対策
Rさんの立場を守る合意書を作成する条件で、遺産分割協議をする
会社の運営者は複数出ないことで兄に協力して円満に進める
●注意ポイント
会社の株の所有割合が過半数を超えると決済権があるため、株主の意思で運営できるため、歯止めをかける合意書は法的効力を持たせるように公正証書などにしておく。
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