事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
異母きょうだいは、他人?相続手続きは迷惑でしかない!
◆母親が亡くなり、父親が再婚
80代の姉が亡くなり、妹のYさん(70代)が相談に来られました。Yさんの姉は結婚しましたが、子どもに恵まれず、夫婦二人暮らしをしてきました。
その夫も一昨年亡くなり、姉は一人暮らしをしていたといいます。
姉とYさんの母親はふたりが幼いころに病気で亡くなっていて、ふたりとも母方の祖父母に育てられたといいます。
Yさんたちの父親は母親と死別後、ほどなく再婚したこともあり、自分では育てられないということで、母方の祖父母にふたりを託したようです。
◆姉の相続手続き
これから、どういう手続きをすればいいかというのがYさんのご相談内容でした。
姉の夫は亡くなり、子どももいないので、妹のYさんが葬儀を出し、相続の手続きをすればよいと思っていました。
姉は元気でしたので、まだまだ一人暮らしで大丈夫と言っていて、相続の話などしたことがなかったと言います。遺言書も見つかりませんでした。
姉の財産を確認すると、夫から相続した家と預金で、合わせて3000万円程度。相続税の申告は必要ありません。
◆異母きょうだいがいた
相続手続きのためには亡くなった人の生まれた時から亡くなるまでの戸籍をとぎれなく取得して、相続人を確認します。
そうしたところ、Yさんの父親は再婚後に3人のこどもが生まれていて、Yさんたちにとっては異母きょうだいがいることが判明したのです。
そうした事実をYさんに伝えたところ、父親とはまったく会うこともなく、再婚したことは祖父母から聞いてはいたが、異母きょうだいがいることなど知らなかったといいます。
◆遺産分割協議が必要
Yさんの姉は遺言書を残していませんので、相続手続きにはきょうだい全員で遺産分割協議をする必要があります。会ったこともない、存在も知らなったきょうだいですが、戸籍上のきょうだいとして姉の相続人になるのです。法定割合は各自、4分の1ずつとなります。
◆関わりたくない
司法書士に依頼して、異母きょうだいの住所が確認できましたので、郵便にて相続人であることを伝えて遺産分割協議への協力を依頼しました。ところが、3人の反応は、「状況はわかるが関わりたくない」というもの。遺産分割協議には実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があるのですが、自分たちは協力しないというのです。
父親が同じとはいえ、会ったこともなく、「きょうだい」という感情はないのだと思えます。
◆家庭裁判所の調停へ
姉がこうした状況を理解していて、「Yさんに全財産を相続させる」という遺言書を作っておいてくれたら、きょうだいには遺留分請求ができないため、何の問題もなく手続きができたのです。まして関わりたくないという感情を引き出すことなく、済ませられたのですが、すでに遅し。
しかし、このままで相続手続きができないため、Yさんには弁護士相談をお勧めし、家庭裁判所の調停の申し立てをするようにしてもらいました。
手続きはこれから始まりますが、早く終えて落ち着きたいとYさんは言っておられます。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
遺産分割協議がまとまらない場合は、弁護士に相談
家庭裁判所の調停を申し立てる
●注意ポイント
家庭裁判所の調停で遺産分割協議の合意が得られることが望ましいが、先方が参加しないなど不調に終わることも想定されます。
その先は審判となり、家庭裁判所が分割の決定をしてくれます。
最初のご相談は無料です。
TEL:0120-333-834
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