事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
実家は知らない間に母親から妹名義に贈与。妹の独り勝ちになる?
◆母親がひとり暮らし
Kさん(70代男性)は3人きょうだいの長男。妹(70代)と弟(60代)がいます。2か月前、母親(90代)が亡くなったため、相続の手続きをしないといけないのですが、妹と話が進まないのでどうすればいいかと相談に来られました。父親は20年前に亡くなっています。
Kさんの実家は地方都市にあり、Kさんは学生の頃から実家を離れて生活しています。弟も同様ですが、妹は結婚するまで実家に住み、同じ市内の人と結婚したこともあり、実家とは30分程度の距離で生活しています。
◆母親は介護施設に
母親は10年ほど一人暮らしをしていましたが、80代になり、介護認定を受けました。近くの妹が毎日様子を見に行くとはいえ、一人暮らしに不安が出てきたというので、10年前に一番近いところにある介護施設に入所しました。
介護施設に入るための保証人は妹が引き受けていますので、そのときから預金通帳などは妹が預かるようになりました。
Kさんと弟も定期的に母親の様子を見に行くようにして、妹の負担を減らせるようにしていましたが、それでもいちばん貢献したのは近くに住む妹に間違いはありません。
◆相続の手続きが進まない
母親は遺言書を残さなかったため、きょうだいで話し合って財産の分け方を決めなければなりません。そのため、預けていた預金通帳を見せるようにと妹に連絡をしましたが、なぜか、見せようとしません。
Kさんは介護施設に入る前に、母親に通帳を見せてもらったことがあり、それには4000万円もの金額が記載されていました。
母親は父親の遺族年金を受け取っていて、2か月ごとに60万円の年金が振り込まれることは知っていました。現在の介護施設は食費を合わせても25万円程度で、年金だけで足りるということで安心していました。
◆実家の名義が妹に
母親が介護施設に入ってから実家は空き家ですが、妹が管理をするということで助かっていたと言えます。実家不動産の評価は1500万円ほどですが、土地は150坪あります。
妹が通帳を見せないということで預金調査は時間がかかりますが、不動産はすぐに確認できるので、その場で登記簿を取得して、名義を確認してみました。
すると、すでに10年前に母親から妹に贈与されている内容が記載されていたのです。Kさんにとっては寝耳に水、まったく聞いていないことで、愕然とされたのでした。
◆妹から放棄するようにと
ほどなく妹から母親の財産はすべて妹が相続するのでKさんは放棄してもらいたいという書類が送られてきたのです。このまま妹のいいなりでは納得できません。
どうすればいいかとご相談がありましたので、預金などの明細をオープンにして遺産分割協議をすることを提案するようにアドバイスしました。
Kさんはそのとおりに妹に提案したといいますが、妹は聞く耳持たずに逆切れ。「遺産分割協議書なんて作らない!縁を切る!」とその後の連絡も拒否するようになったと言いいます。弟は妹に加担しているようで、Kさん対妹、弟という対立になりました。
しかし、妹の態度では当事者間では進まないため、致し方なく、弁護士に依頼して調停を始めるようにとアドバイスしました。
Kさんはアドバイスのとおり、預金の明細は自分で申請して10年分の取引履歴を取得するようにし、弁護士に依頼して解決していくと覚悟を決められました。
◆相続実務士のアドバイス
●できる対策
相続後は相続人であれば預金の履歴を入手できる
当事者が遺産分割協議をできない場合は弁護士に依頼して、家庭裁判所の調停を申請する
●注意ポイント
財産の把握は相続人がしたほうが費用の負担は少なくなります。
弁護士に依頼するにしても預金の取引明細は相続人が取得するようにしましょう。
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