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幻冬舎ゴールドオンライン【第25回】連載更新のお知らせ
2022/03/14/09:29
[連載]相続のプロが解説!人生100年時代「生前対策」のアドバイス事例【第25回】
◆「もしかしてお金がない?」施設入所を拒否する老父に、中年兄弟が起こしたアクション【相続のプロが解説】
◇高齢父を施設に入所させたいが、資産状況が不明で…
今回の相談者は50代会社員の松田さんです。高齢となった父親の健康と資産状況に懸念があり、筆者の事務所を訪れました。
松田さんの母親は数年前に亡くなったのですが、そのショックからか、父親はそれ以後、周囲に心を閉ざしてしまったように見受けられるといいます。松田さんは弟がいる2人兄弟ですが、いずれも共働き家庭で忙しく、まめに父親の面倒を見られないため、高齢となった1人暮らしの父親を心配していました。ある日、思い切って施設への入所を持ち掛けたところ、つれない態度であっさりと追い返されてしまい、ますますコミュニケーションできなくなりました。
弟と話し合った結果、父親の態度は金銭的な不安が理由なのでは思い至ったそうですが、話ができず実際のところは不明です。
「父は一般企業のサラリーマンでした。両親とも真面目で倹約家で、贅沢した記憶はありません。僕も弟も、大学卒業後すぐに家を出たので、以降の両親の生活状況はわかりませんが、もしかしたらお金がないのかもしれないと思いまして。もちろん、その場合は僕も弟も援助するつもりですが、なにしろ話し合いができないのです」
相談からわずか1ヵ月後、松田さんの不安は的中しました。父親は風呂場で転倒し、骨折してしまったのです。父親は入院し、ひとり暮らしできなくなりました。
松田さんと弟は父親のいない実家に戻り、資産に関係する書類を探しました。
「入院時、父親は仏間のタンスから通帳を出すよういいました。その通帳には200万円ぐらいの残高があり、キャッシュカードが挟まっていました。年金が振り込まれる口座で、このお金で生活していたのでしょう。その後、弟と家を調べたら、寝室のタンスから書類や通帳が出てきました。ざっくりですが、定期預金が4000万円、有価証券が2000万円ぐらいです。父名義の自宅とそれで全財産でしょう。正直、意外と持ってるなと…」