夢相続コラム

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【相続事件簿】親より子が先に逝く逆縁時代!未成年の孫が相続人になるとき、どうする?

2019/01/24


相続実務26年目になる私は、相続対策のご提案とサポートをする(株)夢相続を運営しています。

今までに1万4400人以上の相続相談を受けて、アドバイスやサポートをしてきました。

相続は個々に事情が違うため、お会いして状況をお話頂くところからスタートします。

後戻りできない骨肉の争いを避けるために、ぜひ読んでみてください。

 

 

田中康太様(仮名・63歳)の場合

今回の相談者は、田中康太さん(63歳・男性)です。

「先日、86歳の父親が亡くなりました。父親より先立つこと10年前に、三男が49歳で亡くなっています。

今回、父親の相続手続きについて進めたいのです。」と来られました。

 

お父様は、3兄弟の中でも、とりわけ末っ子の三男に目をかけていたと言います。

「神様に愛される人は、早くに亡くなってしまうというのは本当なんですね。亡くなった弟は、親思いで優しかった。

ガンが見つかったときも、父親は貯金の大半を使って、さまざまな治療を試みましたが、半年も経たずに死んでしまったんです。」

 

そんなお父様の遺産は、評価額2000万円の埼玉県内にある自宅と預金2000万円で、合わせて4000万円になります。

また、お父様にはもうひとつ不動産があるということでした。

「弟家族が住むマンションには父親の名義もあることがわかりました。

このマンションは父親が半分お金を出し、半分は弟がローンを借りて購入していました。

当然、弟が亡くなってからも弟家族(妻と2人の未成年の子ども)はそのマンションに住んでいます。

ちなみにもう半分の名義は、弟の妻です。弟が亡くなったときに、彼女が弟から相続しています。

ローンも残っていましたが生命保険で完済されたので、いまは返済がなく、不安なく生活できているようです。」

 

マンションの評価額は1500万円なので、お父様の持ち分は半分の750万円となります。

よってお父様の相続財産は4750万円となります。

相続人は、お母様(83歳)、長男の田中さん、次男の弟さん、そして亡くなった三男の子供2人(代襲相続人)の5人です。

相続税の基礎控除は6000万円ですので、申告が必要ないことは確認できました。

次にお父様が遺言書を残していたら、そちらの内容が優先されるのですが、

遺言書はないということで、相続人全員で分割協議をする必要が出てきます。

 

「自宅と預金の半分である1000万円は母、私と次男が各500万円、

三男の子がマンションを2分の1ずつ相続することで話し合いはついていますので、そのような手続きをお願いします。」と。

 

相続人が未成年

しかし、ここで、課題が生じました。

三男の子どもの年齢をお聞きすると、息子が19歳、娘が15歳とのこと。

分割の合意ができているので、すぐにでも遺産分割協議書を作り、財産の名義がえもしていきたいところですが、

未成年者の場合は、本人が遺産分割協議をすることはできないのです。

原則、親が相続人でない場合は、未成年の子どもの代理人になればいいのですが、弟の子どもは2人とも未成年で、

母親が代理人になれるのは1人のみと法律で決まっていて、もう1人の代理人は、家庭裁判所に特別代理人の選任を申請する必要があるのです。

特別代理人は親族でも、他人でも構わないのですが、家庭裁判所への書類申請の費用や手間がかかり、時間も必要です。

 

相続人の成人を待つ

こうした事例を多くお手伝いしてきた経験から、「長男が20歳になるまで待つ」という案をお勧めしました。

あと10ヶ月すれば20歳になるというタイミングでしたので、相続人全員の総意で、「それまで待ちましょう」と提案しました。

田中さんはご家族で相談され、この方法を選択されました。

その後、20歳になった三男の息子はその時点で、本人が参加して遺産分割協議書ができあがりました。

実印登録をし、印鑑証明書も取得しています。

妹は16歳で、三男の妻が法定代理人になりました。

これで余分な必要をかけずに手続きができたことで、円満な手続きができたのです。

 

未成年に相続をするケース

このケースのように、親より先に子が亡くなり、未成年の孫が代襲相続人になるケースは増えています。

繰り返しになりますが、未成年が相続するには代理人が必要になります。

今回のように母親が相続人ではない場合でも未成年の子どもの法定代理人は1人しかなれず、

2人目の子供は第三者が法定代理人になる必要があります。

夫が亡くなった場合であれば、妻も相続人ですから、未成年の子どもが2人入れば2人とも特別代理人が必要になるのです。

 

ちなみに、相続税の申告が不要であっても、未分割で申告を済ませ、

未成年の子どもが成人をしてから正式な遺産分割協議をするというケースもあり、申告期限から3年以内であれば問題はありません。

また、相続税の申告が不要な場合は、何年も未分割というケースもあります。

私が知るケースは、夫を亡くした妻と2人の子どもが、12歳と15歳だったところ、8年待って遺産分割協議をした事例があります。

家庭裁判所に代理人申請をすると2人の未成年の子どもにも財産を分けて管理することになります。

それよりも母親として夫の財産を管理、子どもの養育費に宛てたほうが安心だと判断、子どもの合意も得て、遺産分割をしています。

 

 

遺産相続評論家・相続実務士のアドバイス

未成年の子どもを残して父親が亡くなることは予測がつかない場合もありますが、

親より子どもが先に亡くなっていて孫世代が代襲相続人という場合は、

遺言書があれば手続きがスムーズに進められます。

そういったところからも、遺言書は必須だといえます。

 

 

 

 

コラム執筆

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