夢相続コラム

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【相続相談事例】きょうだいに頼りたくない夫婦の決断。遺言書と死後事務委任

2022/01/27


【相続相談事例】きょうだいに頼りたくない夫婦の決断。遺言書と死後事務委任

定年まで仕事 家のローンも返した

Sさん(70代・男性)は、30代で結婚、夫婦で働いて共有名義で、ローンで家を購入して、仲良く暮らしてきました。
勤めていた会社も65歳で定年となり、いまは楽しみ程度、関連企業にアルバイトとして仕事をしています。同年代の妻も看護関係の仕事をリタイヤしていまは趣味のサークルに通う日々を送っています。
家のローンは返し終わり、いまは悠々自適の生活となりました。

夫婦で金融資産1億円貯まった

2人とも贅沢をする性格ではないため、大きな買い物をしたり、高価な食事を楽しむこともなく、ましてギャンブルなどに使うこともありません。いまでは夫婦合わせると金融資産が1億円ほどと、ローンを払い終わった自宅という財産を保有されています。
何の不安もないというところですが、Sさん夫婦は子供に恵まれませんでした。子どもがいない場合、相続人は配偶者と亡くなった人のきょうだいになります。
Sさんには兄と姉がいて、妻にも妹、弟がいて、それぞれの相続のときに互いのきょうだいが相続人になるのです。特にきょうだいの仲が悪いわけではありませんが、親の財産をもらったわけでもなく、夫婦でずっと定年まで働いて残した財産ですので、互いの配偶者に全部、渡したいと考えました。

遺言書でそれぞれの財産は配偶者に

自分の全財産を配偶者に相続させるためには、遺言書で指定しておく必要があります。Sさん夫婦は70歳になる直前に、それぞれの配偶者に全財産を相続させるという遺言書を作りました。この遺言書があれば、互いのきょうだいに財産を分ける必要がありません。きょうだいには遺留分の請求権がないため、トラブルになることもないと言えます。
ひとまずは安心できたのですが、あらたな不安がでてきたのです。

残ったどちらかが亡くなった後が不安

それから数年経ち、少し相続が身近な年代になったとSさんが相談に来られました。
財産をきょうだいに分ける予定はないので、最期まできょうだいや甥姪に頼りたくないのです。ひとりになった老後は、老人ホームに入るつもりで、財産の残りは日赤に寄付したいと考えは固まっています。
けれども、不安になってきたのは、このさき、どちらが先に亡くなるかわかりません。残ったどちらかが認知症になるかもしれない、また、残った方が亡くなったときにどうすればいいのか?ということなのです。
こうした不安を解消するため、信託銀行にも行ってみましたが、やたらと費用が高いことがわかりました。信託銀行と同じようなサービスがあればこちらでお願いしたいということでした。

子供がいない夫婦に必要なこと

Sさんご夫婦に必要なことは、認知症になったときに財産管理などをしてもらえる「任意後見契約」や、どちらかがひとりになったときの「見守りサービス」、「遺言執行」や「死後の整理」ということでしょう。
現実に相続になるのは10年、15年先になると思われますが、その間、不安なく生活をして頂けるよう、こちらでいろいろな業務について、信託銀行よりは安価な良心的価格でお引き受けすることにしました。
子供に託せない業務は専門家に依頼することで安心して頂けます。

任意後見契約とは?

任意後見契約とは、受任者に対し、将来認知症などで判断能力が低下した場合に、後見人になってもらい財産管理や契約ごとをしてもらうことを委任する契約です。「財産の管理」として自宅等の不動産や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払い等々です。もう一つは「介護や生活面の手配」です。要介護認定の申請等に関する諸手続、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金したり、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結するなどをしてもらえます。
親族でも任意後見人になれますが、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家がなることもあります。

死後事務委任とは?

相続になったときにしなければいけないことは、葬儀の主宰、役所への行政手続き、病院代等の清算、年金手続き、クレジットカードの解約など、様々な事務手続きが発生します。
一般的に、これら事務手続きは家族や親族が行ってくれますが、子供がいない方の場合には誰もその作業をしてくれる人はいません。よって死後の煩雑な事務手続きを生前にうちに誰かへ委任しておくことができる制度が「死後事務委任契約」です。

死後事務委任に盛り込む内容の一例

(1)行政官庁等への諸届(役所への死亡届の提出、戸籍関係手続き、健康保険や年金の資格抹消申請、その他)の事務
(2)直葬、火葬、納骨、埋葬に関する事務
(3)永代供養に関する事務
(4)生活用品・家財道具等の遺品の整理・処分に関する事務
(5)医療費、入院費等の清算手続きに関する事務
(6)老人ホーム等の施設利用料等の支払い及び入居一時金等の受領に関する事務
(7)公共サービス等の名義変更・解約・清算手続きに関する事務
(8)親族等への連絡に関する事務
(9)インターネット上のホームページ、ブログ、SNS等への死亡の告知、または閉鎖、解約や退会処理に関する事務
(10)保有するパソコンの内部情報の消去事務

死後事務委任契約が発動するときには、委任者は亡くなっており、死後事務委任の内容を変更することはできません。つまり、死後事務委任契約を作成する段階で、なるべく広く委任事項を盛り込んでおいたほうがよいといえます。

死後事務委任と遺言執行の違い

死後事務委任の受任者と、遺言執行者は、それぞれ亡くなった方のために手続きを進める点で同じです。しかし、死後事務委任と遺言では大きな違いがあります。
遺言では、あくまでも財産承継についての記載しかすることができません。不動産は〇〇へ相続させるとか、預貯金を△△へ遺贈するとか、遺産の承継先を決めておくのが遺言です。そして、遺言の内容を実現するだけしかできない遺言執行者は、遺言で定められた承継についてしか手続きを行うことができません。
対して、遺言書は財産の渡し方を決めたものですが、死後事務委任は、それ以外のことを自由に取り決めることができます。葬儀のことやお墓のことやペットのことなどについて決めておけば希望を叶えることができるのです。
死後事務委任だけを作っておいても財産承継の部分については対応できませんし、遺言だけ書いても死後事務については任せることができません。よって公正証書遺言と死後事務委任契約を合わせてしておく必要があります。

老後の用意ができて安心できた

Sさんご夫婦は、寄付の内容を盛り込んでいなかった遺言書を作り直し、遺言執行者も追加されました。合わせて任意後見契約と死後事務委任契約までしておくことで老後まで安心だとほっとされました。
公正証書遺言の作り直し費用とそれぞれの契約の締結費用で数十万円必要でしたが、安心料だと言っておられました。

相続実務士より

子どもに恵まれなかったご夫婦はおおぜいいらっしゃいます。多くの方はきょうだいや甥姪に託されるのですが、さいごまで自分たちで手続きしていきたいという場合は、Sさんご夫婦のように専門家に依頼、契約しておかれることで安心していただけます。

弊社では様々なプランをご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。

 

 

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