夢相続コラム
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【相続相談事例】相続時精算課税制度を利用した贈与例
2022/01/21
【相続相談事例】相続時精算課税制度を利用した贈与例
元夫とのマンション共有名義を解消したい
S様(60代・女性)から10年ぶりにお電話があり、その日のうちに御来社いただきました。相談内容は、現在賃貸にだしているマンションについてでした。マンションが元夫との共有名義であり、その共有名義を解消したいということでした。
実はこの相談内容は10年前と全く一緒で、当時は離婚した直後にご相談いただきました。ご夫婦で相談した結果、元夫の希望で共有名義のままで持つことになり今に至っています。
当時の夫が共有名義を希望していた理由は、賃貸にだしているのでその家賃収入を成人するまでの息子の養育費の足しにして欲しい、というものでした。
10年経った現在、息子が成人したので再度ご相談にお見えになりました。マンションの固定資産税等の支払いや賃料の受取はS様です。マンションを今すぐ売却したいわけではないが、10年間ずっと心に残りもやもやしていたので、息子が成人したこのタイミングできっちりと清算をしたい、というのがS様のご要望です。元夫とは10年前から全く連絡をとっておらず、息子も5年前に一度会ったきりで疎遠となっています。元夫の近況は不明です。地方や海外への移住、再婚し子供がいる可能性もあるそうです。元夫のメールアドレスは変わっておらず、そちらに連絡できるそうですが、「何と言って切り出したらいいですか?」としきりにおっしゃっていました。
まずはご本人から連絡していただくのが吉
もし元夫に後妻やその子どもがいると、相続の際に、更にややこしい事態になりかねません。マンションの所有権が、知らない誰かのものになることや、それが複数人になるかもしれないのです。
ご依頼をいただければ当社から元夫に連絡できます。しかしいきなり当社から連絡すると、元夫から反感を買う恐れがありますので、まずは「マンションの所有権に関してどうお考えですか?」とS様から確認していただくことになりました。
相続時精算課税制度を利用して息子に非課税で贈与する
元夫の所有権移転の方法は大きく分けて次の二つです。
(1)元夫の所有権をS様が買い取る
(2)元夫の所有権を息子に贈与する
(1)元夫の所有権をS様が買い取る場合
不動産の所有権割合はS様と元夫で7対3です。所有権の割合は圧倒的にS様が多いですが、かといってS様だけの意思で売却出来るわけではありません。S様御所有の不動産は現在売却すると購入時よりも高値がつきます。もし元夫から、所有権の割合分を時価で買い取ってくれといわれてもその現預金は手元にありません。買い取り金額は元夫との協議により決まります。しかし注意点として、金額が低すぎる場合は贈与とみなされ、贈与税の課税対象になる可能性もあります。
(2)元夫の所有権を息子に贈与する場合
相続時精算課税制度を利用します。2,500万円までは子や孫への贈与に贈与税が発生しないという制度です。こちらの制度を利用すれば買取金額や贈与税の支払いがなく、手元資金が少なく所有権移転が出来ます。もし元夫から希望があれば、元夫の相続時に遺留分を放棄する念書を作成、ということも視野にいれます。相続時清算課税制度は相続税対策の効果は薄いですが、今回のケースのように相続の前に財産の整理を行う場合や、孫への遺贈の場合に利用出来ます。
S様のご希望は息子に贈与することでした。その方が元夫としても納得するのではないか、という考えです。
今回の場合のように不動産を共有名義で所有するとデメリットがあります。相続の際にも所有者が複数人になるケースが多々あります。その場合は代償相続をする等により、極力不動産の所有者は一人になるよう勧めております。
弊社では様々なプランをご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。
相続実務士
住吉 信哉(すみよし しんや)
相続実務士、宅地建物取引士、AFP、2級ファイナンシャルプランニング・技能士、賃貸不動産経営管理士
相続のご相談は一人ひとりが異なります。どのようなケースでも対応できるよう、日々精進しております。
皆様の相続が幸せにつながるように、誠実に取り組んでまいります。