夢相続コラム

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【相続実例コラム】収益が見込める不動産が共有で分けにくい!どう解決すれば?

2020/08/24


【相続実例コラム】収益が見込める不動産が共有で分けにくい!どう解決すれば?

●実家を出たことで、後ろめたさを感じている平井さん

平井さんの実家は住宅街にある3階建ての戸建てです。新築時は、1階は駐車場、2階は両親の自宅、3階は長男である平井さん夫婦の自宅となっていました。名義は、土地と建物の1、2階は両親、3階は平井さんです。相談者である平井さんは、「長男だから」と、両親は3階を平井さん夫婦の名義で登記することを許してくれました。ただし、平井さんが老後の面倒をみることがその条件です。
しばらくたって、妻の母親が、介護状態になり、妻の実家に夫婦で移り住んで面倒を見ることになりました。平井さんの父親は、すでには他界していたため、母親は実家で1人暮らしすることになります。母親は、「面倒見ると言ったのに」と、息子が家を出ていくことを悲しんだそうです。そのことを気にかけ、平井さんは、頻繁に実家に顔を出し、介護サービスの制度を調べる、相続の知識も蓄えるなど、母親に尽くしています。しかし、母親や次女は、平井さんが実家を出ていったことに関して「約束を破った」と感じていたようです。

●次女と今後の主張が食い違う

そんなある日、次女が離婚することになりました。次女は財産分与により十分な金銭を持っていて、都内に自分名義の自宅もあり、生活の心配はいりません。しかし、60代になってからの離婚は寂しかったのでしょう。実家に母親を面倒見ながら居住したい、と言いはじめました。実家への郷愁もあり、次女は、母が他界したら、実家は自分がもらうと主張しはじめました。

この事に関し、以前から実家のことに関しては、ほとんどタッチしない長女は、いつも通り無関心。平井さんは、母の面倒を見てくれるのはいいが、
・母が他界した後も長女が相続で2階を取得し、住み続けるのは法定相続分を無視している
・自分が長男なので、土地と2階を相続し、共有名義を避けたほうがよい
と主張しました。次女との意見が食い違い、関係も険悪に。何か解決方法はないかと、今回、当社に相談に見えました。

●相続実務士の視点

実家の相続に関して、以下のケースを考えましょう。

①法定相続分通り、不動産を分ける場合
3人とも、持分3分の1の共有名義となります(土地、建物2階)。

②次女が相続する場合、
次女が持分1/1。ただし、長女と長男には遺留分が発生します(各1/6、833万円)。

③相談者である長男が相続した場合
にばん②と同様、長男が持分1/1。ただし、長女と次女には遺留分が発生します(各1/6、833万円)。

相続実務士が着目したのは次の2点です。
①平井さん名義の3階は相続に無関係である
3階はすでに平井さんの名義になっていて、相続が発生しても影響がない状態です。そのため、相談者である長男以外が相続すると、建物全体として考えたとき、共有名義と同じようになってしまいます。また、土地と建物の名義が同一でなくなるので、売却の際に手続きが煩雑であり、買い手自体が見つかりにくい可能性があります。
②収益が見込める不動産である
1階は貸駐車場として、現在100%稼働。また、平井さん夫婦の所有である3階も現在賃貸中。合わせて、312万円/年の収益があります。満室になって入ることから、立地的に、2階も賃貸需要が見込める物件と考えます。
以上の2点から、平井さんが単独名義で相続し、相続時点で現金約3,300万円を所有しているなら、姉2人に約1,666万円ずつ支払い(代償分割)、そうでないならば、1、2、3階の賃料を分配する方法を提案しました。
平井さんは、実務士の提案を聞き「納得のいく提案ですね。プロの方のお力をいただき、前向きに姉(次女)と話し、仲良くやっていきたいです」とオーダーメード相続の依頼をされました。また、「もうすぐ自分は定年なので、退職したら、母親のもとに頻繁に通って今まで1人していた分、をとりかえしたい」と話されていました。来所された時は、こわばった表情でしたが、立ち去るときの平井さんは、柔らかい優しい表情に変わっていました。

●家族構成

○相続人・母(心身ともに健康。80代後半)
○父 (25年前に他界)
○相続人 3人〔長女60代・次女60代・長男(相談者・60代)〕

●財産構成

①自宅(母居住) 土地(約140㎡)持分:母親が1/1
建物 (3階建)
1階は駐車場(未登記)
2階は持ち分:母親が1/1、3階は持ち分:相談者1/1。
※3階と1、2階は別々に登記がしてある。現在、3階に相談者は居住しておらず、賃貸物件になっている(16万円/月)。1階の駐車場も賃貸中(2万/月×5台)。どちらも満室。
②預貯金 母名義で1,020万円
※評価額は
土地:約2,800万円
建物:7,000万円
計9,800万円(預貯金を除く)
基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万
よって相続額は9,800万円―4,800万円=5,000万円

弊社では様々なプランをご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム執筆

吉井 まゆみ
相続実務士、宅地建物取引士、AFP、2級ファイナンシャルプランニング・技能士
・誕生日:5月2日
・出身地:群馬県藤岡市
・趣味:ゴルフ、茶道
お客様の人生に寄り添った相談業務ができるよう、日々努力しております。
賃貸、売買、用地仕入れと、ひと通りの不動産業務を経験してきました。女性ならではの感覚で、行き届いたコンサルティングを心掛けています。
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