夢相続コラム

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【運命を変えた相続の極意】自宅や裏山の評価を下げて農家を守った村上さん

2021/10/28


【運命を変えた相続の極意】自宅や裏山の評価を下げて農家を守った村上さん

相続関係者

被相続人 祖父(配偶者あり)
相続人7人(配偶者、長男、長女、次女、三女、四女、養子・長男の子、相談者)

相続事情

村上家は400年続いた家柄の大地主さんで専業農家です。農地解放でかなり土地を手放したが、それでも亡くなった祖父の財産の大部分は土地で、大部分が自宅とその周辺の調整区域の農地です。専業農家だけに畑がないと生計が立てられないため、代々農地を守るのが跡取りの務めであり、自分の代で没落するわけにはいかないというのが村上さんの信条でした。

祖父が隠居をしたときに、村上さんは農業を手伝うようになり、両親と3人で農業に従事してきました。丁度そのころ、父親が脳梗塞で倒れたことがあり、無理が利かなくなったことから、村上さんには跡取りとしての自覚が出てきたとのことで、祖父が養子になるようにと決めたのもそのころのことです。

祖父は農地を分けることはできないという考えから、公正証書遺言も作成しておいてくれました。大部分の財産を長男と孫の村上さんに相続させ、娘4人は現金、配偶者の祖母には二次相続の不安を無くすため、相続させるものはないという内容でした。

相談者にこられたきっかけ

農家を継いでいる村上さんは、生前、事ある毎に祖父から土地や家やお墓を守ってくれと頼まれていたということです。祖父が亡くなってからは、相続税をなんとか安くして、乗り切ることができないか、いろいろと調べるうちに、私の本を買って読んだとのことで、相談に来られたのでした。

特に自宅が調整区域で宅地分譲できる場所ではないのにあまりに評価が高く、それだけで相続税がかなりかかるのではないかと不安に思っておられました。

運命の分岐点・ここがポイント

☆土地を鑑定評価で減額した
近隣は大規模な開発で山が切り開かれて、大きなニュータウンがいくつも広がっている地域ですが、村上家の自宅は調整区域にあるため、ほとんど昔のままで、自宅の裏は山林になっています。道路も狭く、車一台が通るのがやっとという幅しかありません。 ところが、相続の評価は固定資産税評価に倍率を掛けるため、自宅周辺だけでもかなりの評価になってしまいます。 市街化区域の土地であれば広大地評価ができ、減額の余地がありますが、調整区域には適用できません。しかし、倍率だと高すぎると思われるため、税理士と検討した結果、測量をして鑑定評価をするしかないという結論になりました。

そこで、自宅と裏山の2ヶ所につき、鑑定評価をして、減額しました。 また、別のところで無道路地となってしまい、建築許可が取れない土地があります。やはり路線価で評価をすると実態とはかけ離れています。そこで、同じく鑑定評価をし、路線価の5分の1としました。 このように、3ヶ所の土地の鑑定評価により、相続税は約半分に減額ができ、相続税の申告をすることができました。

☆貸し地の売却
相続財産の中には納税に足りる現金はないことから、納税の方法を考えなくてはなりません。農地以外とすると、貸し地が妥当だと判断しました。貸し地は地代が入りますが、所有しているメリットが少ないため、納税用にすることを提案しました。 相続税の評価相当であれば売却をした方がいいと提案していたところ、一括して不動産会社に買い取ってもらうことができました。物納申請も済ませていましたが、それよりもうんと早く決まり、相続税の納付期限に間に合って現金納付ができたのです。村上さんは物納だと決まるまで不安だったので、早く売れてよかったと大変喜んでおられました。

☆延納の返済原資を作る
納税は土地の売却で6割方済ませる目途がつきましたが、残りは延納としましたので、翌年より返済が始まります。そこで、空き地の2ヶ所で土地有効利用をする提案をしました。1ヶ所は調整区域で建物が建たないところですが、大型トラックの駐車場として借り手があり、もう1ヶ所は3階建ての賃貸マンションを建てることになりました。 この土地有効利用は村上さんの父親の事業となり、節税対策ができたわけですが、同時に延納の返済原資となる収入を確保することができたのです。

相続実務士®の視点

村上さんは、亡くなった祖父から事ある毎に、「家を継承してもらいたいので、頼む」と言われていたとのこと。「祖父の気持ちを十分理解しているので、自分の代で家を没落させるわけにはいかない」と、はっきりと意思を持って行動しておられる姿に、何代も続く家を継承していくことの責任の重さを感じました。 大地主で本家といわれる立場の家に生を受けることは、一見楽なように思えますが、現実問題として維持していくことは簡単ではないと言えます。

そのための公正証書遺言であり、土地の分散を避けるためですが、他の相続人も一様に農家が楽ではないこと、家を継続することが大変であることを理解して頂き、遺言書に記載のある代償金を支払うことで納得されたのでした。 こちらに依頼を頂いて、土地の評価で節税できたこと、タイミングよく貸し地の買い手も見つかって納税できたことなど、ストーリーどおりに進めることができたことで、大変安堵して頂き、喜んで頂けたのでした。

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