夢相続コラム

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【それぞれの相続物語】(23)評価の高い貸宅地を売却して対策した高橋さん

2022/11/04


【それぞれの相続物語】(23)評価の高い貸宅地を売却して対策した高橋さん

 

◆相続関係者

●依頼者 高橋さん(男性・40才代)・職業 会社員

●家族関係  被相続人 母(予定)長男 二男(本人)長女 二女 三女 計五人予定               

●財産の内容 自宅不動産、貸宅地、畑、現預金

 

 

◆相続事情

高橋さんは5人きょうだいです。就職のため高橋さんと三女は上京して生活していますが、それ以外のきょうだいは実家の近くで暮らしています。5年位前に父親が亡くなり、相続が発生したときは次男ながら高橋さんが中心となって、相続人を纏め相続税の申告を行いましたが、慣れないこともあり非常にご苦労されたようです。

 

最近になって母親が体調を崩してしまい、高橋さんは父親の相続で苦労したことを思い出しました。母親の相続になったときは大変な思いをしなくても済むように、専門家のアドバイスを聞いて生前対策を行いたいと相談に来られました。

 

◆課題

高橋さんの父親は地主の跡取りで、先祖代々から受け継いだ土地を売却しない事に誇りをもっている人でした。その上、借金することにも抵抗がありアパート、マンション等の生前対策は行っていなかったため、相続税の支払いを余儀なくされてしまったのでした。それでもまだ資産価値の高い土地があったので、評価額よりも高く売却することができ、時間はかかりましたが納税は済ませることができたのです。

 

しかし、母親が父親から相続した財産は大半が貸宅地であり、父親のときのように簡単に売ることができません。預貯金も多くはなく、納税資金が心許ない状況でした。

 

◆解決へのアドバイス

◇貸宅地の契約内容を整理する

  貸宅地の賃貸契約の期間は20年から30年が一般的です。そのため、契約期間中に土地所有者、借地人とも相続が発生して契約者同士がいなくなるケースが少なくありません。高橋さんのケースでも、今まで父に全て任せていたので、土地賃貸借契約の不備が目立ち、契約期間、更新料の金額などの契約内容が高橋さんや母親や借地人でさえも分からない状況でした。

 

また隣地所有者との境界も未確定のままでした。そこで高橋さん、借地人、隣地所有者、測量士、弊社との立会の上で測量し境界確定をした上で借地面積を確定させ土地賃貸借契約書を蒔き直すことにしました。

 

◇貸宅地の売却を提案する

貸宅地は土地所有者の立場からは、自分では利用することができず、しかも地代は収益性が高いとは言えません。毎年の固定資産税の支払は所有者である母親の負担です。相続が発生すれば底地権割合で評価を計上しますが、所有するメリットは少ないといえます。

 

そこで、測量の立会や土地賃貸借契約書を作成し直す機会に借地人に底地の購入を提案しました。互いにメリットになることで、了解が得られて売買が成立しました。母親の底地権を売却して換金化することで納税資金の確保が出来ました。

 

 

◆まとめ

昔から土地を所有する方の多くは、居住用として他人に土地を貸していることがあります。高橋さんの母親が父親から相続した土地もそうした貸し地で、所有者が自由に使えない土地となっています。地代が入るとは言うものの、処分するにも簡単にはいかず、時間がかかりますので、早めに売却されることをお勧めした次第です。高橋さんの母親は納税資金が少なかったこと、相続人も貸し地よりは現金の方を相続したいという意向で一致していましたので、換金できて安堵しておられました。

 

◆相続実務士からのアドバイス

貸宅地は、借地人の方の権利が大きく、所有するメリットが少ない財産と言えます。底地権の売却は相続時のタイミングで行うとスムーズに進むことが一般的ですが、時間がかかることも想定されるので、納税資金や分割金にする場合は生前の売却を検討された方がいいでしょう。

 

 

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