夢相続コラム
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遺言書でもめない相続を実現するために最低限知っておきたいポイント
2017/07/12
遺産分割でもめてしまう家庭の共通点――それは「亡くなった人の意思が見えない」ことです。
遺産分割でもめてしまえば、節税策を講じることもできません。
相続税という経済的なダメージも大変なことですが、親族間の遺産争いや感情的なしこりは金銭に代えがたいダメージとして残ることになります。
相続によって失う物は財産だけではないのです。
亡くなる前に意思を示す手段としておすすめしたいのが、遺言です。
本記事では、遺言書によって「もめない相続」が実現する理由と、遺言書のポイントを解説します。
遺言書で「もめない相続」が実現できる
次の世代に継承してもらうための分け方を指定しておくことは大切です。
意思表示もなく、あとの者がなんとかするだろうというのでは、うまくいくはずがありませんし、さらに決めたあとは意思を伝えておかなければ、残された人に迷いや欲を持たせるものです。
だからこそ、相続人が迷わず、争わないための羅針盤になる「遺言書」を作成し、自分の意思を明確にして残しておくことが必要なのです。
自筆で書く方法もありますが、自筆の場合は、必ず効力があるとはいえません。
なぜかというと、偽造の疑いを持たれたり、内容に不備があると無効になったりするからです。
そうした不安がなく、確実に内容を実現するには、「公正証書遺言」にしておくことをお勧めします。
次に、遺言執行者を決めておくことも必要です。
相続の手続きは相続人全員で進めますが、窓口となる代表者は1人の方が何事もスムーズにいくためです。
遺言書は具体的な遺産分割だけでなく、感謝の思いやさまざまな気持ちを綴ることもできます。
残された人達を思いやる愛情にあふれたものであれば、感情的な部分で救われ、もめない相続に近づくでしょう。
遺言書があってももめるケース
相続を円満に乗り切るには、家族で争わないことが大前提です。
多くの方は、円満に話し合いができるのであれば、譲歩してもいいというのが本音です。
ところが、その気持ちが吹き飛んでしまうような出来事が起こることがあります。
はじめは、「遺言の存在を教えてもらえなかった」ということが、ひっかかります。
亡くなった本人からも、それを知っていたきょうだいからも、一言もなかったことが、心理的に大きなダメージとなります。
次に、「財産の内容が偏っていること」。
同居や寄与などがある相続人には多く、多少のことになら不満はないものの、あまりに偏っているのは、不信感につながります。
その上、遺言の中に自分の記載がない場合は、存在を否定されたように感じたとしても当然です。
さらに、「財産の内容を教えてもらえない」となると、不信感、不満を抑えることができず、最初の「譲ってもいい」気持ちは「相手がそんな態度なら、徹底的に追求して自分の権利分はもらう」という気持ちへと変わってしまいます。
このようなことから遺言を作る方にお勧めしていることは、「遺言を作ることや内容を相続人にも知らせてオープンにしておくこと」です。
それができないときは付言事項を活かして真意を残すようにします。
遺言書のポイントは「こっそり作らない」こと
遺言書があればもめない相続ができるといいたいところですが、現実には、「遺言書があったことでもめてしまった」ことも多々あります。
そうした場合、たいていは、遺言の存在を知っていたのは相続人の一部であることが多く、また遺言書の内容が特定の相続人に偏っているのです。
たとえば、相続になって同居する長男が亡くなった父親の遺言書を出してきた。
遺言書は“長男に全財産を相続させる”という内容で、他の相続人は遺言書の存在は一切知らされていなかった。
しかも長男以外は名前もない、という内容です。
こうした場合、長男以外の相続人は、父親が自分の意思でその遺言書を書いたとは思わず、長男が財産を独り占めしたいために父親に遺言を書かせたとしか思いません。
生前には父親から別の分け方を聞いていたり、預貯金はみんなで分けるようにと言われていたりするような場合はなおさら、長男を疑うようになります。
こうした現状から教訓を引き出すのであれば、「遺言書はこっそり作らない」ことが大事だということです。
いままでの遺言書は、「こっそり書いて、誰にも見つからないように隠しておく」というイメージでしたが、これではうまくいきません。
争いのない相続を用意しようというのであれば、遺言書は相続人全員に自分の意思で作ることや内容をオープンにしておくことが必要です。
これができていないとせっかくの遺言書が仇になることもあるのです。
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