夢相続コラム
弊社の活動内容や日々のできごと、お知らせなどをお伝えします
【相続相談の達人コラム】父親の財産は姉がひとり占め。介護をしたのに配慮なし
2019/03/18
母親名義をこどもが相続、自宅は3人名義
Aさん(60代・女性)は、 今年の夏、90代の父親を亡くし、相続の手続きをすることになりました。
相続人は、Aさんの他に、姉と養子縁組をしている姉の息子です。母親はすでに亡くなっています。父親の財産は、自宅不動産が大部分で、姉とその子供が二世帯住宅として同居してきました。
母親が亡くなったのは12年前です。父親と共有名義にしていた自宅については、3人で3等分して相続しました。土地は2分の1が母親名義でしたので、結果的に、土地は父親が6分の4、姉とAさんが6分の1ずつ、建物は全部が母親名義でしたので、父親、姉、Aさんが3分の1ずつという割合で所有しています。
介護は同居する姉ではなく、Aさんが通った
その後、二世帯住宅で同居しているにもかかわらず、父親の生活の面倒を見るのは、結婚して他で生活しているAさん。
姉は離婚して、実家に戻った状態ですので、仕事をしていた時期もありましたが、父親の介護が必要になったときには仕事はリタイヤしているのに、積極的に父親の介護をサポートしようという態度はありませんでした。
父親は、長女に期待するよりも、孫に託したいという思いから、5年前に姉の長男と養子縁組をしたいきさつがあります。
幼少期の関係のまま、すべて姉が思うとおりにしてきた
姉は幼少期からAさんに対しても高圧的で、何事も自分の思うままにしてきたタイプです。気に入らないことがあると実力行使をしてでも押し通してきまして両親に対しても、わがまま放題をしてきました。
姉は要領がよく、介護はしないものの、預金口座や通帳は姉が管理していました。そして、 相続になった時には、ほとんど残っていないという説明でした。母親が亡くなった後、姉とAさんはほとんど会話をすることはなく、相続手続きのために久しぶりに会話を交わしたのが実情です。しかし、姉の性格や態度は昔から変わらず、Aさんに勝ち目はありません。幼少期の関係が今でも続いていて、すべて姉の思うままなのです。
権利を主張すると姉の反撃が怖い
Aさんは、父親の介護に貢献しているので、財産を分けてもらうのが当然ではあります。
もっと強気に権利の主張をするのが普通だとアドバイスしました。ところが、反旗を翻したとしても、姉の反撃は目に見えていますので、今回も、姉のいうままに、ことを荒立てずにすませたいと言われます。
「意見を言うと姉は気に入らないはずで、そうしたあとの報復が怖い」と。権利を主張していいことがわかって、また、それが当然だと言ってもらえてよかったが、財産よりも気持ちの安心、身の安全のほうを選択して、穏やかに過ごすことを選択したいと言われました。
問題は自宅の名義
父親の財産を放棄したとしても、母親の財産を相続した時点で、自宅は父親、姉、Aさんの3人名義になっています。その家には姉家族が住んでいて、Aさんが住むことはないと言えます。
今までどおり、姉は家賃を払うなどAさんに対価を払う気持ちはないと思われます。本来はAさんの名義を姉に買い取ってもらうのが妥当なところですが、とても言い出せないようです。しかし、将来は共有名義がトラブルになるため、いずれかの時点で解決したほうがいいこともアドバイスしました。姉か、Aさんか、いずれかの相続のタイミングになるかもしれませんが、次世代に持ち越してもいいことはないと言えます。
遺産相続評論家・相続実務士のアドバイス
権利は等分、介護などに貢献した人には寄与分があると法律では決まっていても、現実は簡単にはいきません。現実的な選択をすることが賢明な場合もあります。
しかし、Aさんの切実な思いは、それで当たり前の感覚の姉には伝わることがないので、理不尽な思いが残ります。
コラム執筆
弊社では様々なプランをご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。