夢相続コラム
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きっかけは預金管理の不透明から。不信感が致命的に
2021/05/06
きっかけは預金管理の不透明から。不信感が致命的に
父親と母親ともに遺産分割ができていない
Fさんが相談に来られて、聞いてみるとご両親の相続手続きができていないというのです。父親は13年前に亡くなり、その後、1人暮しをしていた母親が昨年亡くなりました。Fさんは長男で、弟と妹がいます。両親と同居しているこどもはなく、母親は80代半ばまで1人暮しをして、その後しばらくは介護施設で生活して、亡くなりました。
父親の金融資産が減っている
13年前に父親が亡くなった時、相続税の基礎控除は9000万円でしたので、 母親と共有の自宅と金融資産ではその範囲に入っていたのかと思われますが、遺産分割協議もせずに年月が経ちました。それには理由があり、父親が入院して、その後、介護施設に入ることになり、預金の管理は母親では大変だと、妹に任せた時期がありました。仕事が忙しいFさんや弟よりも、妹のほうが適任と思ったからですが、入出金を報告するようにと言っても報告しないことが続き、 不審に思ったFさんは通帳を取り上げて、自分が管理をするように切り替えました。確認すると多額の現金が引き出されており、問い詰めても妹からは返事がなく、Fさんは、妹には実家に出入りするなと通告したのです。
きょうだいだけでは話ができない
最近のこと、Оさんは法事でお寺に出向いたときに父親のお墓に、母親の戒名と亡くなった日付けが刻まれていることを発見。一言では表現できない怒りがこみ上げてきたといいます。どうすればいいかと相談にこられました。 登記簿を取得すると、母親の生前に、自宅は売却、貸店舗は、姉二人に贈与されていました。亡くなったことを知らせてこないばかりか、財産も移転されて、Оさんの権利を侵害していることがわかり、さらに愕然としておられました。
遺留分の請求はできるが、争わない
そうしたことから妹と溝ができ、妹に同調した弟とも疎遠になり、13年が経過したのです。母親が亡くなったことをきっかけとして、いよいよ父親も含めた相続の手続きをしてしまいたいところ、弟、妹とは円満な話ができそうにないといいます。
過去にとらわれていると進めない
Fさんとしては、妹が引き出したであろう預金について、 本人から明確な説明をしてもらい、それができたら相続手続きに入りたいということです。しかし妹にも言い分があるでしょうから、過去に戻って追及することがよしとは言えません。そこで、こちらで提案したことは、いま残っている財産について遺産分割協議をしようと全員が同じ考えとなり、取り組んだ方がよいこと。それができるのであれば、サポートしますということでした。
売却して3等分にする決断
その2か月後にまたFさんが来られて、残っている財産について3等分することで 弟、妹にも伝えて了解を得たのでお願いしますと言われたのです。 空き家の自宅を処分し、母親の預金を解約、費用や税金を払った残りを3等分することで 全員の合意が得られて、別々に遺産分割協議書の調印ができました。 13年間空家だった実家ですが、幸いにすぐに買い手がみつかり、売却して、3人に等分に分けることができたのでした。 最後まで一同に集まって円満にとはなりませんでしたが、私どもが間にはいって手続きすることができ、ようやく長年の問題が解決できました。
相続実務士のアドバイス
・過去の不信なことを明確にしようとすると円満にはいかないため、譲歩が必要
・これからできる前向きな方法に専念することで解決していく
・過去のことを責めたり、詫びを言わせようと考えてはいつまでも解決できないため、割り切ってしまう
弊社では様々なプランをご用意しております。
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