夢相続コラム
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【それぞれの相続物語】(24)二次相続の節税のため賃貸事業に取り組んだ藤井さん
2022/11/07
【それぞれの相続物語】(24)二次相続の節税のため賃貸事業に取り組んだ藤井さん
◆相続関係者
●依頼者 藤井さん(男性・50才代)・職業 自営業
●家族関係 被相続人 母(予定)
●相続人 長男 二男(本人)長女 3人予定
●財産の内容 自宅不動産、貸家、畑、現預金
◆相続事情
藤井家は代々農家です。父親が70代になり、農業は母親と二人で楽しみ程度に続けていましたが、体調を崩して入院し、相続の準備をする間もなく、亡くなってしまいました。財産の大部分が土地で、現金はほとんどありません。納税ができるのか不安になり、本を読んだ次男の藤井さんから相談があり、相続税を安くして土地を残したいとコーディネートの依頼を受けました。
藤井家はJAの組合員で、一度は試算を出してもらったのですが、できるだけ相続税を節税して土地を残すために家族の意向をまとめてこちらに頼むようにしたということです。
遺産分割のとき第一に考えたことは、二次相続のときを想定した分割案にすることです。次の分割を想定して今回にその前提を作っておくことで、次はそのとおりに手続きすればいいようにできます。納税額を減らすために、配偶者の税額軽減と農地の納税猶予も両方を母親が受けられるような遺産分割としました。合わせて、母親の節税対策ができる土地を相続することが必要だとして、提案していきました。
◆課題
貸家の土地と生産緑地の指定がない畑が二次対策の候補地ですが、それでは母親の取得割合は50%を満たしません。そこで、自宅は長男と母親の共有、貸家の一部を次男の藤井さんの共有として50%になるように調整しました。長女には長女が家を建てて住んでいる土地と隣接する畑としました。
この分割案で、母親の特例で納税を免除、猶予された割合は63.5%となり、13.5%は計画的に納税を減らせたことになります。但し、それだけ母親の相続した割合が多いので、節税対策は不可欠となりました。
◆解決へのアドバイス
◇土地の評価で節税した
藤井家の土地は3カ所にまとまっており、自宅、農地、貸家、畑などが混在しています。全部を測量して個々の利用による地形と面積を出し、評価をすることで評価が下げられました。
2カ所の畑が大きいことと5棟建っている貸家の土地を個々に評価することで、相続税は当初予定していた半分程度に減額することができたのでした。最初に相談したJAで試算したときより大幅に節税できたと藤井さんは喜んでおられました。JAが低利で融資をしてくれたので、納税は済ませました。
◇母親の二次対策でアパート5棟建設
納税の次は母親の二次対策に取りかかりました。納税用と考えていた土地と賃貸中の3軒に明け渡しをしてもらい、2LDK3世帯のメゾネット2棟を建てました。長女宅に隣接する畑に3棟目のアパート、生産緑地ではない畑に4、5棟目のマンションを建てました。母親の節税対策ができ、収入もいままでの5倍以上となり、安心して頂いたようです。
土地を生かして賃貸業ができる提案をしたことで将来像も描きやすくなったようです。
◆まとめ
次男の藤井さんは父親の土地を借りて仕事をしておられますが、前途は厳しい予想もあります。長男も公務員ながら早期退職もあるかも知れず、長女も仕事をしながら子育てをしている最中。それぞれが抱える事情を考慮すると、将来は子供たちも賃貸業を本業にする前提として母親の二次対策をしようと提案しました。
こうした背景があり、有効利用も当初は2棟だけの予定でしたが、2棟とも完成前に満室になりました。それで手応えを実感されたようで、前向きになられ、2年半で5棟の賃貸住宅を建てて頂きました。5棟とも順調に稼働しており、うれしい出会いとなりました。
◆相続実務士からのアドバイス
一次相続のときに二次相続も視野に入れた分け方を決めておくことで、配偶者の特例を活かした節税をしながら、将来の争いを回避するようにします。配偶者の特例と納税猶予の特例を活かすと、納税は最小限に抑えることができます。
二次相続の節税対策としては賃貸事業が確実で、大きく節税ができる対策となります。
弊社では様々なプランをご用意しております。
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