夢相続コラム
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【相続の教科書】遺言書があってももめる10 兄嫁に約束を反故にされた
2022/08/31
【相続の教科書】遺言書があってももめる10 兄嫁に約束を反故にされた
◆Eさんのプロフィール
会社員
<相続人関係図>
被相続人 母親 父親は故人
相続人 亡長男の妻(養子)・子(代襲相続人)、次男(本人)、長女
◆兄嫁は母と養子縁組をしていた
Eさんは母親を亡くして相談に来られました。相続人は、妹と兄のはずでしたが、母親より長男が先に亡くなっており、代襲相続人である甥が相続人になりますが、母親と養子縁組をしている兄嫁も相続人の立場であり、4人で相続することになりました。
父親は6年前に亡くなっていますが、そのときはなにも手続きをしませんでした。亡くなった長男がまだ存命中で、母親とふたりの意見に押し切られたのですが、父親の相続手続きや財産分与はせず、母親が亡くなったときに子供3人で分けようということになったのでした。父親の財産は、母と長男家族が同居する自宅の不動産と預貯金であり、相続税の申告は不要な範囲です。
◆行政書士が遺言執行者で全権を持つ
現実に母親が亡くなると、兄嫁から、父親と母親は2人とも遺言があると知らされました。
父親の遺言は自筆で、「全て配偶者と長男に」とあり、母親の遺言は公正証書で「ほとんどを兄嫁と甥に」という内容でした。
母親の遺言書は行政書士が証人と遺言執行者になっており、2年間は遺言執行を凍結すること、その後、執行者の権限で不動産の売却をはじめとした財産の処分は自由に行えるとすることが記載されていました。
◆遺言の内容は納得しがたい
Eさんにすれば、執行人が兄嫁か甥ならまだ納得できますが、2年間も遺言執行を凍結する記載は、遺留分請求の期限を喪失させようとする意図なのか、理解しがたいところであり、また、全く知らない人に両親の財産を勝手に処分させるのか、ということも納得できないことだと憤りが隠せない口調で話しておられました。
父親の遺言については、亡くなってから6年も経ってはじめて遺言書だと知らされることは不自然で、偽造ではないかと思えるとのことでした。
まずは遺留分侵害額請求をすることをアドバイスしましたが、兄嫁や甥の態度からは相続人で遺産分割協議をすることは望めないでしょうから、妹と二人で対抗措置を検討されるようにもアドバイスしました。長男が亡くなったことで兄嫁は自分たちを守りたかったのでしょうが、生前の約束事を反故にしたとなれば、感情的なしこりが残ると思えます。
◆問題になったポイント
・遺言の執行は2年間凍結、行政書士が執行者
・生前の相続人間の約束事が反故にされた
・父親の死後、6年も経って遺言書があると知らされた
◆実例からの教訓
・相続手続きは先延ばしにしない
・遺言執行者は相続人が適任
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