夢相続コラム
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【相続実務の事例】<代々地主型>共有地を測量、分筆して2795万円節税できた中島さん(1ヶ所の土地に広大地適用、1ヶ所の土地を分筆)
2020/07/21
【相続実務の事例】<代々地主型>共有地を測量、分筆して2795万円節税できた中島さん
(1ヶ所の土地に広大地適用、1ヶ所の土地を分筆)
※小規模宅地の特例改正前、広大地の特例撤廃前の事例です
●相続データ
○被相続人 母(不動産賃貸業・80代)
○相続人 4人(前夫との間の長男の代襲相続人30代、その代襲相続人の子(孫養子)
(後夫との間の長女50代、長男50代(本人))
○財産の構成 自宅、賃貸マンション、貸地、駐車場、預貯金、生命保険
●相続の状況
中島家は地元でも有名な名士で、代々の地主さんです。中島さんの母親は、長男が生まれて間も無く夫に先立たれ、再婚したときに前夫との間の長男は後夫と養子縁組をし、後夫との間に生まれたのが長女と中島さんです。
後夫も30年以上前に亡くなり、晩年は1人暮らしをしておられましたが、その間、中島さんがすぐ近くに住み、日頃の面倒を看てきたということです。
賃貸マンションや貸地、駐車場など財産のほとんどが不動産で、異父兄弟という家族関係が複雑だったこともあって、母親は信託銀行で公正証書遺言を残していました。
母親に相続が発生する1年前に前夫との間の長男が先に亡くなっていますが、そのときすでに母親は認知症を患っていたため、遺言書の書き直しはできませんでした。
●相続の課題
遺言執行者には信託銀行が指定されていました。遺留分に抵触しないよう、それぞれの子供達に財産分与がされていますので、遺言書を執行すればいいことですが、前夫との間の長男が母親よりも先に亡くなっているため、その分については遺産分割協議の話し合いが必要です。
長女も中島さんも、代襲相続人がそのまま相続することに特に異論はありませんでしたが、年代の違いや普段から行き来が少なかったせいもあって、意思の疎通をはかるのが難しい状況で手続きが思うように進みません。その後、遺産整理業務の継続が困難という理由から、信託銀行に断られてしまい、こちらに相談に来られました。
相続財産を確認したところ、財産の大部分が不動産なので、減額できるのは土地の評価です。また、遺言書では432坪の駐車場を共有で相続し、売却して納税するよう指定されていました。しかし一番の課題は、納税用の駐車場を除く、他の複数の土地がすでに兄弟間の共有になっていることだと思えました。
中島さんの希望は、節税して土地を残すことはもちろん、今回の相続を機に、共有を解消し、将来の不安がないようにしておきたいとのことでした。そのまま信託銀行に任せていたとしても、そこまではお願いできないと感じ、こちらにコーディネートを依頼されました。
【遺産分割】
遺言書はあるが、前夫との間の長男が先に亡くなっているため、長男の代襲相続人が相続する部分については遺産分割協議書の作成が必要
【評価・申告】
不動産が多く、土地の評価がポイントになる
【納税】
駐車場を共有で相続し、売却して納税するよう遺言で指定されている
●解決へのアドバイス
○広大地評価の採用
土地のあるエリアの開発許可が必要な面積は500㎡です。相続財産の中に820㎡の不整形な字型で奥行きの深い駐車場があります。現地調査で周辺の状況を確認したところ、高層のマンションはなく、一戸建てが建ち並ぶ住宅街でした。よって、相続する土地に宅地の開発許可を取る場合は、区画を計画するにあたり道路負担が必要になると判断できますので、広大地評価を採用することにしました。
宅地の区画割り案も作成しました。
○共有地を分筆して節税する
公正証書遺言で納税用地として指定されていた駐車場は二方道路の角地で、共有割合は長男1/4:長女1/4:長男1/2となっていました。しかし相続人に納税方法の意向を確認したところ、物納したい、手持ちの現金で納税したい、あるいは駐車場は収益が上がるから残して別の土地を売却して納税したいなど意見がまとまりません。足並みが揃わないと売却は難しいので、納税方法は各自の希望に任せるとして、駐車場は残すにしても、共有を避けるため、遺言書に指定されている割合に応じた面積で3つに分筆し、それぞれ単独で相続することを提案しました。
3つに分筆をしてそれぞれ単独で相続する場合、土地の評価は筆毎(取得者毎)になります。全体が二方道路の土地が、一ヶ所が角地、残り2つの土地が一方道路の土地になり、一体で評価するよりも減額できました。
○遺産分割協議
遺言書はそのままいかし、母親よりも先に亡くなっている前夫との間の長男が取得する分については代襲相続人がそのまま相続することにして、遺産分割協議書を作成しました。
●ここがポイント・節税と注意点
【遺産分割】
・遺言を執行して、不具合がある部分は遺産分割協議書を作成した
【評価・申告】
・1ヶ所の駐車場に広大地を適用して評価減した
・納税用と考えていた共有地を3つに分筆して減額した
【納税】
・遺言書どおりにはせず、各自が別々の方法で納税した
●相続税の節税額のまとめ
※小規模宅地の特例改正前、広大地の特例撤廃前の事例です
相続財産 8億 192万円
◆小規模宅地減額 △ 2611万円(240㎡80%適用)
債務等 △3億3583万円
課税価格 4億3998万円
基礎控除 △ 9000万円(相続人4人)
相続税総額 8032万円②・・・最終の相続税額
◆配偶者税額軽減 △ 万円
納付した相続税総額 8032万円・・・正味財産の10%
当初の相続税総額 1億 827万円①・・・節税考慮なしの場合
◆評価減の節税額 2795万円①-② ③
◆配偶者税額軽減 万円 ④
◆節税額の合計 2795万円・・・財産の3.5%残った
◆主な評価減の合計1+2+3 △ 7621万円
<評価減1> ◇広大地の減額 △ 4352万円
(※土地1駐車場通常 9868万円→ 広大地5516万円)・・・公図
<評価減2> ◇分筆して減額 △ 658万円
(※土地1共有地通常2億839万円→分筆後2億181万円)・・・公図
<評価減3>
◆小規模宅地 △ 2611万円
誰が→子 どこに→自宅 割合→240㎡80%適用
比較→賃貸土地の場合 1750万円200㎡50%
※賃貸用の土地よりは自宅に適用したほうが、減額が大きいと判断した
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