夢相続コラム
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【経済面の失敗】初歩的なミスで登記までやり直した臼井さん
2021/12/21
【経済面の失敗】初歩的なミスで登記までやり直した臼井さん
財産とご家族の状況
●依頼者 臼井さん・(女性 70才代)
●相続人 相続人6人(配偶者・臼井さん、長女、次女、養子3人・長女の夫、長女子2人)
●財産の内容 自宅不動産、貸店舗、宅地、農地、山林、預貯金
【相続事情】農家はこれくらい払うものだと言われた
臼井さんのご主人は、晩年、農業を営んでいましたが、若い頃は大蔵省に勤める役人で、大学もでています。生まれた家には、古くからの古文書が残っているほどで研究家の手で一冊にまとめられるほど価値があり、貴重な研究資料となっていました。
臼井さんのご主人が亡くなって、相続の申告をしないといけなくなったとき、申告の手続きの中心になったのは配偶者である臼井さんでした。相続税は区画整理の土地を物納すればいいとご主人から言われていました。遺書はありませんでした。
財産は6億5000万円で相続税は16700万円、配偶者の特例を利用しましたが、それでも納税額は8200万円。臼井さんは高いと思いましたが、税理士から出てきたのは、農家はみんなこれくらい払うものだという言葉でした。臼井さんはそれでも納得できずに相談に来られました。
課題 裏山の評価が1億円
臼井さんは、自宅裏の山林が1億円以上の評価になるとことが腑に落ちませんでした。面積は1200坪程度ありますが全部が斜面で、高低差は10m以上あります。斜面の山林を1億円で買ってくれる人がいるとは思えません。税理士に話しても評価の仕方は決まっているとのこと。そのまま申告は終わってしまいました。けれどもどうも納得できないと相談に来られたのです。
確認すると、傾斜地の山林の固定資産税評価は、1200坪全体でたったの20万円。ところが、相続税の評価は、1億1千万円もしているのです。
配偶者の臼井さんの取得割合が52%で350万円も納税する事になっています。
相続財産の中に現金はほとんどなかったので、納税は全て物納を希望していました。当然、全部物納するつもりが、税理士の先生は、1400万円は現金納付した方がいいとしきりに勧めるので、仕方なく、親戚から借入までして、なんとか納税を済ませたのとのこと。その他にもいろいろと問題の箇所が見つかりました。
解決へのアドバイス・・・申告が終わってすぐに更正請求
更正の請求の期限までは、まだ時間もあるので土地の評価をし直し、相続税額を減らすことにしました。いくつかの致命的な失敗があり、軌道修正することが必要ですが、申告した税理士は断ってもらって肩の荷が下りた様子だったとのことです。
まずは、4人共有となっていた土地8区画の物納予定地4区画は納税のある3人(子供と養子)名義に変更しました。割合は納税額で按分したものです。 当初は4区画の土地を物納する予定でしたが、3区画に減らせたので、残る1区画は費用や借入返済のため売却しました。納税額が下がったおかげで、超過物納となり、余分は現金で返金されることになりました。
山林については鑑定評価をし、更正請求に添付して税務署に提出しました。自宅の土地や畑の評価をやり直したところ、評価は2億円程度の減額ができ、税額では7000万円程度の減額が実現しました。
相続実務士から
臼井さんが疑問に思うのも無理がないと言えるほど、自宅の裏山は急斜面の土地でとても1億円もの価値があるとは言えません。税理士のいうとおりではなく、自分の感覚で行動されたことが節税につながったと言えます。臼井さんは相談してよかったとしみじみ言っておられました。「山がそんなに高いのはおかしい」ということをおざなりにしなかったことで節税ができたのです。
相続税評価でも現状と乖離がないか、妥当なところかと常に見極めることで節税が生み出されます。
確定申告を担当している税理士さんでも相続に慣れていない場合は、いろいろな間違いをされていることに驚きました。専門家選びを間違わないことが大切だと感じた次第です。
相続実務士からのアドバイス
斜面や不整形などの土地は、鑑定評価で評価を下げることができます。申告後1年以内は更正請求で相続税を取り戻せるので、専門家に相談することが大切です。
また、小規模宅地の評価減は効果が大きいところを選択するようにしますので、誰が相続する、どの土地に適用するのがいいのか、判断するようにします。
弊社では様々なプランをご用意しております。
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