夢相続コラム
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【それぞれの相続物語】(18)古い貸家をマンションに建て替えて価値を高めた上田さん
2022/10/27
【それぞれの相続物語】(18)古い貸家をマンションに建て替えて価値を高めた上田さん
◆相続関係者
●依頼者 上田さん(男性・40才代)
●被相続人 父(不動産賃貸業)
●相続人 2人(母、長男・相談者)
◆相続事情
上田さんの父親が所有する土地は、角地にあり、自宅とそのまわりの畑で、約1000坪あります。道路に面しているところはいいのですが、敷地は奥が深いので利用しにくい地形でした。 そこで父親は自宅の横と奥に3本の道路を造りました。幅員6mのゆったりした私道で、造成費を捻出するために、一部の土地は売却しなければいけなかったようです。おかげで自宅は四方が道路に囲まれた敷地となりました。他の区画も角地となり、すっきりと整備されています。
父親は、まわりの農家に先駆けて昭和40年代のはじめの頃に貸家業をはじめています。しかし、築30年も過ぎるとやはり建物の老朽化が進み、退去したあとの新しい借りてはつかなくなりました。家賃を滞納する人もでてきて煩わしくなったこともあり、昨今は、貸家が空くごとに解体して駐車場に切り替えています。
父親は70代半ばで亡くなりました。財産のほとんどが不動産で、ほとんど整形地で道路状況もよく、評価が高いと言えます。しかも、負債は何もありませんでした。相続税が相当かかるのではないかと不安をかかえて相談に来られました。
◆課題
上田家の土地は、自宅、駐車場、広い道路に面した土地の3区画に分かれています。このうち利用価値が一番高いと思われるのは、広い道路に面した土地で、店舗としても仕えそうです。こうした土地をどう評価し、節税につなげるかが最初の課題です。
次の課題は納税です。納税を早めにすませてすっきりさせるには、土地の売却か物納かになります。しかし、どの土地も売らずに残したいという希望をもっておられました。土地を残して延納するにも、担保が必要で、20年の返済期間返済原資をどういう方法で捻出するかは重要なことになります。
◆解決へのアドバイス 売却の内容をオープンにして分割協議をする
☆測量をして利用区分毎に評価する
貸家が建っている土地は、三方道路ですが、表の公道に面する建物と裏の私道に面する建物に分かれています。敷地の一部には駐車場もあり、個々の地形は不整形です。この利用区分図を作成することで路線価が分かれることになり、評価減となり、節税できました。
☆配偶者特例で最大限に節税する
納税を減らすには、配偶者の特例を最大限に使うようにしますが、母親には二次相続の節税対策が取れるようにと、広い道路に面した土地を割り当てることにしますが、それでは半分を超えてしまいます。そこで50%ぎりぎりの割合になるようにと上田さんの持ち分も入れて共有割合を調整しました。
☆リスクを分散して余力を残す
広い道路に面した土地は横に長い区画です。向かい側に工業団地が広がっているので、敷地全体を利用して大きなビルを建てることも想定しましたが、上田さんは万一のときの状況の変化に対応できるように更地部分を残しておきたいとのこと。そこで、建物の位置を道路側に向けるのではなく、道路と垂直の位置に配置することにしました。利用するのは敷地全体の3分1程度となり、1階店舗、2~5階は賃貸マンションとし、ベランダは南に面しています。残りの土地は駐車場として賃貸することで、収益もあげられます。
☆古い貸家から収益のある賃貸マンションへ
建設計画地には貸家が5棟あり、賃貸中でした。上田さんの意志も固まったころから入居者に明け渡しの交渉をはじめましたが、全員に同意が得られて、建物の着工までに明け渡しが完了し、建物の解体も終えることができました。
その後、古い貸家から賃貸マンションへと生まれ変わったのですが、見違えるようにきれいになり、環境がよくなりました。収益も今までの何倍にもなり、良質な入居者が入り、家賃滞納などの悩みからも解消されたのです。
◆まとめ
会社員の上田さんは朝早く出勤し、終電近くまで仕事をしておられ、普段はのんびりする時間もとれず、相続手続きも申告まであと3ヶ月を切っていたころ、こちらに相談に来られました。亡くなったお父さんも土地に愛着を持っておられただけに、上田さんもできる限り土地は残したいとはっきりとした意思をお持ちでした。
相続税の申告が終わってから、土地有効利用の意志決定まで5ヶ月程度でしたが、これも土地を残して維持していきたいという強い意思の表れだと感じています。事業は順調に進み、存在感のある建物が完成しました。建物の名称も上田さん自身が命名され、上田さんにとっては今後の財産維持の方向性を示す事業になりそうです。
今や相続された土地にはかつての面影はなく、相続をきっかけとして有効利用することで価値をあげ、資産を殖やして頂くことができたと言えます。建物が竣工したとき、上田さんのお母さんと最上階から周辺の景色を見たときに、「お父さんにも見せてあげたかった」と言われたことが印象的でした。
会社員のSさんは普段から忙しく申告まであと3ヶ月というときに相談に来られました。亡くなったお父さんも土地に愛着を持っておられただけに、できる
限り土地は残したいとはっきりとした意思をお持ちでした。その分決断は早く、賃貸事業も順調に進み、存在感のある建物が完成しました。今や相続された土地にはかつての面影はなく、相続をきっかけとして有効利用することで価値をあげ、資産を殖やして頂くことができたと言えます。Sさんのお母さんと完成した建物の最上階から周辺の景色を見たときに、「お父さんにも見せてあげたかった」と言われたことが印象的でした。お手伝いできてよかったと思え
る出会いでした。
◆相続実務士からのアドバイス
土地が接する道路の路線価が変われば評価も変わります。二方、三方に道路がある土地は、どの道路を利用しているかによって評価が変わることがあります。
古い賃貸住宅は維持するために修繕費がかかり、家賃滞納などの問題も出てきます。タイミングを見て維持しやすい形に変えることは必要です。
弊社では様々なプランをご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。
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