夢相続コラム

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【相続の教科書】遺言書があってももめる9 同居する三女に有利な内容だった

2022/08/30


【相続の教科書】遺言書があってももめる9 同居する三女に有利な内容だった

 

◆Hさんのプロフィール

定年退職後

<相続人関係図>

被相続人 母親 父親は故人

相続人 長男(本人)、長女、次女、次男、三女 5人

 

◆一番の下の三女が母親と同居

Hさんは5人きょうだいの長男です。それぞれが親元を離れて独立をしていますので、両親は広い家で静かな生活をしていました。父親が先に亡くなってから、子供たちの間では高齢になる母親をひとり暮らしさせておくことは不安だという話になり、誰かが同居した方がいいとなりました。

しかしそれぞれ仕事や子供の事情があり、同居ができたのは一番末である三女夫婦でした。たまたま三女の夫は早期退職制度を利用して仕事をしていない時だったことや子供がいなかったことで動ける状況にあったからでした。

 

◆信託銀行が遺言の執行者に

その後、母親が亡くなったとき、長男であるHさんが相続手続きのことを言い出す前に、信託銀行から通知が来て、母親は遺言信託をしており、公正証書遺言が残されていることを聞かされました。そして、信託銀行が相続の手続きをすると言うことです。

Hさんにとっては寝耳に水のことで他のきょうだいもまったく知らなかったところが、同居する三女夫婦が信託銀行を依頼したようです。

 

◆ほとんどが三女に、残りは共有で

母親の公正証書遺言は、自宅は三女、一部の土地は長男に、もう一ヶ所の土地は長男を除く4人の共有に、預金の3分の2は三女に相続させる、三分の1は三女の夫に遺贈させるという内容でした。附言事項には、墓守や法要はSさんがするようにと記載されています。相続税はかからないのですが、Hさんをはじめとして預金を三女夫婦が全部もらってしまうのは納得できないと不満がでました。

Hさんは、三女に少し善処するように話をしましたが全く聞く耳を持たず、遺言に書いてあるので当然のことという態度だということです。

Hさんは、窓口の信託銀行にも証人になった責任を問い、調整を掛けあいましたが、故人の意思のとおりで自分たちには責任はないとのそっけない返事で間に入ろうともしません。何とかならないかと相談に来られたわけですが、遺留分にも抵触しておらず計算された結果だと見受けられます。不動産はともかく預金部分だけでも遺産分割協議をし直してくれるよう三女に持ちかけてみればとアドバイスをしましたが、その程度しか選択肢はなさそうです。

 

 

◆問題になったポイント

・法要の費用ももらえず、土地は共有

・信託銀行は遺産分割の揉め事の調整はしてくれない

 

 

◆実例からの教訓

・同居の立場は遺言を残してもらいやすい立場にある

・相続人間で財産分与の話し合いを持つようにする

 

 

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