夢相続コラム

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【相続事例】自分が納得して印を押したかった大西さん

2020/12/22


【相続事例】自分が納得して印を押したかった大西さん

財産とご家族の状況

■相続関係者
●依頼者 大西さん・(女性 50才代)
●被相続人 父・会社経営(配偶者は既に故人)
●相続人  相続人 子4人(長男、長女、次女・相談者、三女・相談者)

■相続事情
大西さん姉妹はともに独身の50代、40代の女性です。母親を25年前に亡 くしたため、家事を切り盛りする必要もあり、婚期を逃したとのこと。父親は もともとは農家ですが、若い頃より知人と鉄工所の共同経営を始めたことがき っかけとなり、4つの会社を経営するようになりました。全部、自分の畑に工 場を建てて運営しており、それぞれが軌道に乗っていることから、父親の商才 や人望があったということでしょう。
大西さん兄妹の4人のうち、一番会社経営に向いていたのが長女で、父親がいる頃から全部の会社を仕切っていました。長男も役員として名を連ねていますが、父親が体調を崩して入院する頃からは長女がほとんどを仕切る形で運営されてきました。しかし、会社には勤めず、家のことや入院する父親の世話をする大西さん姉妹にとっては姉が何ら説明をしてくれないため、いつも不安や不満がありました。姉は2人を寄せ付けない高圧的な態度であり、姉妹ながら溝ができている状態で、頼りの兄はおとなしいタイプですから、そうした姉の態度を咎められず、常に姉のペースで進んできたと言えます。

■課題
父親が亡くなったときも、当然の如く、相続の手続きを仕切ったのは姉です。 詳しい説明がないので、ますます不信感がふくらんでいきました。姉妹は父親 の財産の内容がわからないのが実情でしたので、まずは内容の説明を求めたの ですが、今までの調子で高圧的で不都合なことは何も説明をしないようなことで、どうも信用できません。どうやら実家を継ぐ姉が、家を出ている大西さん姉妹にはわずかの金銭で済まそうとし、不都合なことは何も説明をしないのではないかと疑心暗鬼になり、姉妹の溝は決定的となってしまいました。
相続税を払うために土地を売るからと言って用意された書類に印鑑を押しましたが、その後が予定通りに進みません。 土地の仲介に親戚が入っていることも姉が自分に有利に進めるのではないかと 思えました。土地の契約が進んでいるのか、相続税が払えるのか、申告は間に 合うのか、いろいろと不安になることばかりで、書店で私の本を見つけて購入 し、電話相談をしてこられたことがきっかけでした。

解決へのアドバイス・・・売却の内容をオープンにして分割協議をする

仲介する親戚の話では、相続税を払ったら残らないという認識ですが、姉妹は 納税後も手許に残る計算になります。そこで、こちらが立ち会い、何事もオープンにしてもらうようにしました。 売却する土地は、法定割合を主張した分を調整したため、兄24%姉12%姉 妹32%ずつ割合となりましたが、売却を急いだため、遺産分割協議前に姉の 指示により、すでに法定割合で登記をされていました。仲介に入った親戚や税 理士は、納税でお金は残らないから分割協議書の割合と違っても差し支えない という説明でしたが、これでは疑心暗鬼になるもの当然というところです。 登記もし直し、確認しながら契約や入金を進めて、売却が完了し、納税することもできました。

相続実務士より

大西さんのお父さんは地主さんであり、経営者であり、土地の名士。家庭的には妻を早く亡くされたことから、4人の子供をそばに置くことで家庭を大事にして来られたと考えたいところですが、現実の相続は、姉妹でも他人のほうがましと思えるくらい、壮絶なものでした。実の兄妹でも財産が多いと不協和音はつきものですが、こちらがコーディネートに入った段階でもすでに直接の会話ができない状態でした。
姉妹には、こちらがコーディネートに入ったこともあり、ほぼ法定割合の財産 分与で分割協議を終えることができ、今後の生活の不安も無くなったことで大 変喜んで頂きました。父親の相続手続きは終わり、納税も済ませることができ ました。財産を相続することで得るものもありますが、兄妹の絆はなくなり、 失うものも大きいと思える出来ごとでした。

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