夢相続コラム
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【相続の教科書】遺言書があってももめる1 預金は全部後妻の名義
2022/08/17
【相続の教科書】遺言書があってももめる1 預金は全部後妻の名義
◆Мさんのプロフィール
会社員、父親は再婚、妻と3人の子
<相続人関係図>
被相続人 父 実母は故人
相続人 後妻・子供(亡長男の子2人、長女、次女、次男・本人)6人
◆元銀行員の後妻は自分に有利な相続にしたかった
М家は父親が開墾して農地を取得し、夫婦で耕作をしてきましたが、母親は40代で亡くなりました。その後父親は子供の反対を押し切り、再婚しています。実家を継ぐ予定の長男も亡くなってしまい、老後は後妻と二人暮らしをしていました。土地は自宅周辺の一角ですが、農地は全てが宅地となり、貸店舗、賃貸アパート、駐車場となっています。他に亡長男宅、次男宅があり、長女も敷地内の父親名義の家に住んでおり、嫁いだ次女だけが別の地域ながら、相続人は毎日顔を合わせるような環境です。
しかし、父親は公正証書遺言を残しており、4人の子供には使用貸借している自宅の土地と貸家の土地だけ。次男には貸店舗と駐車場を余分に相続させるとの内容でした。賃貸収入のある不動産と預金等の全部は後妻が相続するので、自宅か入居中の築30年以上の貸家を売らなければ納税できないのです。さらに遺留分の請求をする場合は、後妻ではなく次男にするようにと書かれていました。公正証書遺言は弁護士が執行者と指定されており、送られてきた財産の明細には預金残は約100万円のみ。毎月の賃貸収入が200万円以上はあると思われるだけにどうも腑に落ちません。相談に来られた後妻以外の相続人全員から相続コーディネートの委任を受けました。
◆預金は全部下ろして自宅に現金で隠していた
父親は8年ほど前に土地を売却しており、億単位のお金が入ったことを聞いており、毎月の賃貸料も相当あることから、預金はもっとないとおかしいというのが全員の意見でした。そこで金融機関に預金の入出金や株の取引明細の情報公開を請求し、おおよそのところを調べ上げた結果を遺言執行者の弁護士に提示し、事実確認を求めたところ、後妻は父親の毎月の収入を全部口座から引き出して自宅に置いており、2億円以上の現金を保有していることを認めたのです。相続税の申告も後妻とは別にして、後妻側の税理士にも情報公開をするよう請求しました。遺言執行者に後妻の代理人となってもらい、遺留分請求をする代わりに相当の財産分与を求めた遺産分割協議をして相続税の申告を終えました。
◆問題になったポイント
・後妻が財産をオープンにしなかった
・遺言執行者の弁護士は後妻の依頼
・あるはずの預金がほとんどない
・遺言は子供に不動産のみで納税できない
◆実例からの教訓
・預金は金融機関に取引明細の情報開示をしてもらう
・特定の株であれば保有状況を調査できる
・公正証書遺言があっても相続人全員で遺産分割協議ができる
・相続税の申告を後妻と別に提出し調査時の情報を得られるようにする
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