夢相続コラム

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【節税の教科書】【遺産分割】1%の権利で小規模宅地の特例を適用した前田さん

2022/09/21


【節税の教科書】【遺産分割】1%の権利で小規模宅地の特例を適用した前田さん

 

◆相続関係者

●依頼者 前田さん(男性・50才代)・ 会社員

●家族関係  被相続人 父 相続人  母 二男(本人)

●財産の内容 自宅不動産、賃貸マンション、貸宅地、預貯金、有価証券

 

◆状況

前田さんの兄は幼い頃に病気で亡くなり、前田さんはほとんど一人っ子として育ちました。社会人となり、大手の会社に就職するときに、勤務先の都合で実家からは通えず、親元を離れて独立しました。その後、結婚をしたあと通勤がしやすく海にも近いところに家を購入して住んでいます。

 

両親は2人とも病気もしたことがないくらい元気にしていました。ところが、父親は体調を崩して慌ただしく入院をし、数ヶ月もたずに亡くなってしまいました。

 

急なことでもあり、相続の事については何も分からないばかりか、どこから手をつけていいかも検討がつかないと相談に来られました。

 

◆課題

前田さんの祖父は地主の分家で、不動産を多く所有していたため、最寄り駅近くに不動産を何か所も所有していました。相続の節税対策のため、前田さんの母親が祖父の養子になり、父親だけでなく母親にも財産を分けたのだそうです。

 

今回の父親の相続で、前田さんは初めてそうしたいきさつや両親の財産を知り、想像以上の多額な財産に驚きました。しかも母親も不動産などの財産があることから、父親の財産は全部母親が相続すればいいのでは、と安易に考えていてはいけないとわかったのです。

 

◆解決へのアドバイス

(1)相続税の総額を減らす分割の仕方を検討する

すでに母親は財産を所有しているため、母親が財産の半分を相続したとすると、今回の納税は特例により半分ですみますが、二次相続時では今の財産に父親から相続した財産が増えること、相続人は前田さん一人で基礎控除が少なくなることから、結果、納税額が高くなってしまいます。

 

いろいろと分割案を比較した結果、父親の財産の大半は前田さんが相続し、母親の財産は今以上に増やさないほうが納付する相続税の総額は少なくなることがわかりました。

 

(2)小規模宅地の特例で節税する

前田さんが父親の財産の大半を相続する方針は決まりましたので、母親は自宅不動産も相続しない方がいいのですが、それでは母親は小規模宅地の特例は使えません。自宅の土地評価は高いので小規模宅地の特例は大きな節税になり、どうしても使いたいところです。既に自宅を所有する前田さんでは200㎡まで50%の評価減ですが、母親だと240㎡80%の評価減を使えるのです。

 

そこで、前田さんが100分の99、母親が100分の1の共有持分にしました。母親が相続する財産は最小限で、最大の評価減を使えるので大きなメリットになりました。

 

◆ここがポイント

・相続税の総額を減らすため配偶者の相続割合を少なくした

・小規模宅地の特例は住む人が相続することが最大の評価減となる

・小規模宅地の特例は住む人の権利が1%でも最大にいかせる

 

 

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