夢相続コラム
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【それぞれの相続物語】(12)99%終わっているので節税は無理と言われた
2022/10/19
【それぞれの相続物語】(12)99%終わっているので節税は無理と言われた
◆相続関係者
●依頼者 辺見さん(女性・40才代)
●相続人 相続人2人(長女・辺見さん、次女)
●財産の構成 自宅、賃貸アパート、駐車場、現預金、市街化農地、調整農地
◆相続状況 父の代からお願いしている税理士に依頼
辺見さんは父親を亡くし、妹と二人で相続することになりました。母親は辺見さんがまだ中学生のころに亡くなってしまっており、家事は辺見さんが切り盛りしてこられたのです。そんな事情もあり、結婚も妹よりあとになりましたが、縁があって他県へ嫁ぐことになりました。辺見さんの結婚を機に父親は一人暮らしとなりましたが、妹夫婦が500坪ある自宅の敷地のなかに家を建てて住んでおり、心配はありませんでした。
父親は生前対策として自宅の敷地の中にアパートを1棟建てています。他にも同じ市内に駐車場にしている土地や畑や山林を所有しており、評価は数億円になると予想されました。負債は3600万円だけ。相続人は辺見さんと妹の二人です。
辺見さんの父親が亡くなって、申告を誰に頼もうかというときに、当然のように毎年確定申告を依頼している税理士の先生が思い浮かびました。同じ市内の先生で、アパートを建ててからのつきあいなのでもう10年以上です。その税理士は70歳を過ぎており、税務署のOBだとのこと。辺見さんと妹の二人で税理士を訪ね正式に申告の依頼をして、申告準備はスタートしました。
◆課題 税理士が高圧的で税務署のように感じた
辺見さんを悩ませたのが税理士の態度です。何事も高圧的で、正直に全部を出しているにも拘わらず、隠している預金があるのではないかと執拗に聞いてきます。辺見さんは何か悪いことをして取り調べをされているようだったと言います。それでも申告のためと我慢したとのこと。依頼してから半年ほどして税額は1億4200万円だと聞かされました。相続財産にはそれだけの現金はありません。
こちらに相談に来られたときに税理士の資料を確認したところ、土地についてはもっと丁寧に評価をすれば節税の余地があると判断できました。家庭用財産や他の物も、全体的に高く評価されており、細かく検討すると減額の余地がいくつもありました。
税理士からは99%は準備が終わっているので、これからの節税は無理だと言われたのでした。そこで節税の可能性があればと、こちらに切り替える決断をされました。
◆解決へのアドバイス まだ節税はできた
申告期限まであと3ヶ月となった頃、辺見さんのご主人が本を読んで相談に来られました。いくらかでも節税したいとのこと。依頼した税理士は、申告準備は既に99%終わっているので申告費用は正規に請求するとのこと、またこれから節税などできるはずがないとのこと。それでもあきらめきれない辺見さんは、その税理士を断ることを決断されました。
土地の評価をし直すことによって、まだ節税できることがわかり、提出した申告書の相続税額は、1億1200万円。99%終わっているという税額からは、それでも3000万円の節税が実現したのでした。思い切って断ってよかったと辺見さんは言っておられます。
辺見さんと妹の二人でほぼ等分に分けることを提案、その中から納税用地を決めて、残る財産の内容を確認できたことで、提案した分割協議の内容で合意を得ることができました。
納税用とした土地二カ所は取得割合に応じて共有としました。預金は残して土地で納税する予定で、物納申請はしましたが、売却することができ、物納は取り下げました。
◆まとめ
節税に理解がない税理士の先生に節税したいとお願いしても、実現しませので、勇気を出してすっぱりと断ることが必要です。当然それまでの作業に応じて費用を支払わなければなりませんが、それ以上に節税ができるのですから、辺見さんにも決断をしてもらいました。
また、聞きたいことも聞けない雰囲気ではいい申告はできないのです。辺見さんが依頼した立場なのに、その税理士は打ち合わせの段階から詰問調で、いろいろと不愉快になることばかりだったとのこと。とても味方になってもらえそうにはなかったので、辺見さんは変えたことで気が楽になったと言っておられました。びくびくしながら、聞きたいことも聞けず、言いたいことも言えずという状態では、いい申告はできないと言えます。
◆相続実務士からのアドバイス
税理士さんにも得手不得手があり、相続に慣れていない方もあります。また相続人は「納税者」という感覚で節税に理解がない方もあります。こうした税理士の先生に節税したいとお願いしても、実現しませんので、最初に判断をすることが大切です。税理士の先生と意思の疎通がはかれなければ節税はできないのです。
弊社では様々なプランをご用意しております。
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