夢相続コラム

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【納税】現金で納付できない場合、最後の手段として物納を考える

2018/02/09


有価証券や土地などで納税する方法がある

 

延納を選択したくても金銭による納付が困難な場合は、有価証券・土地などで納税する方法が認められています。これを「物納」といいます。

 

物納が許されるのは、相続または遺贈によって取得した財産に限られています。物納する場合、収納価額は相続税評価額となります。物納を利用するための要件は以下のとおりです。

 

①延納を選択しても金銭で納付することを困難とする事由があること。

②物納できる財産があること。

③申告期限までに税務署長に申告すること。

④物納しようとする財産が、物納不適格財産に該当しないこと。

 

共有財産や係争中の財産、抵当権がついている財産は物納できません。

 

なお、延納の申請が認められた相続税について、延納期間内の納付が困難な場合には、申告期限から10年以内に限り、延納から物納への変更をすることが可能です。これを「特定物納」といいます。

 

物納できる財産には順位がある

 

物納できる財産には順位があり、上位の財産がない場合に、下位の財産を物納することができます。

 

◦第1順位 国債・地方債・不動産・船舶

◦第2順位 株式等の有価証券

◦第3順位 動産

 

また、特定登録美術品は、上記順位にかかわらず物納に充てることができます。

 

利子税や延滞税などは物納できない

 

相続税に付帯する加算税、利子税、延滞税や連帯納付責任額については、物納の対象にはなりません。

 

また、平成18年度の税制改正に伴う相続税法の一部改正により、平成18年4月1日 以後に相続開始により財産を取得した人と平成18年3月31日以前の相続開始により財産を取得した人では、物納の手続きや利子税の負担等で異なる部分があるので確認しておきましょう。

 

今回のキーワード 物納不適格財産(ぶつのうふてきかくざいさん)

売却ができなかったり、維持費がかかったり、管理が困難な財産のこと。境界が明らかでない土地や、耐用年数が経過している建物、公の秩序、善良の風俗を害するおそれがある目的に使用されている不動産などが該当する。

 

特定登録美術品(とくていとうろくびじゅつひん) ①わが国の重要文化財や国宝に指定されている作品、②世界文化の見地から歴史上、芸術上または学術上特に優れた価値を有する作品、の条件を満たし、登録された美術品。

 

今回のポイント

・物納できる財産には順位があり、上位の財産がない場合に、下位の財産を物納する。

・利子税や延滞税を物納することは認められていない。

 

 

執筆者紹介

【講師】曽根恵子

(株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター相続コーディネート実務士)

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