夢相続コラム
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【民法改正を活用】「配偶者居住権」はどうつかう?(2)
2021/01/18
【民法改正を活用】「配偶者居住権」はどうつかう?(2)
「配偶者居住権」はどうつかう?
夫が亡くなって、妻が自宅を相続した場合、それだけで法定相続分の2分の1を超えてしまい、妻の手元に現金が一切残らないという問題がありました。こうした状況を解消するために創設されたのが、配偶者居住権です。
ココが気になる(1) 「配偶者居住権」の評価はどうなる?
法務省の簡易評価法によれば、“年齢が若い人ほど配偶者居住権は高く”なり、“年齢が高い人ほど、居住権は安く”なります。 50歳くらいで未亡人になって、配偶者居住権を設定してしまうと、配偶者居住権が高いため手元に残る現金は少なくなり、逆に80歳くらい配偶者居住権が安くなるため、現金が多くなる可能性が高いと予想されています。
ココが気になる(2) 妻が65歳以上なら「配偶者居住権」は?
妻が65歳以下なら、今まで通り所有権を選び、65歳以上なら居住権、というのが一つの目安になりそうです。 所有権の評価と配偶者居住権の評価の分岐点はおおむね65歳くらいです。これより若い人は、余命を考えれば所有権を相続したほうが自由度が高く、得策です。自宅を売却して転居したり、老人ホームへの入居など選択肢が広がることになるからです。
ココが気になる(3) 「配偶者居住権」は売れる?
居住権が設定されている不動産は、売ろうとしても買い手がつくことはないでしょう。無償で住める権利が配偶者居住権ですので、所有権を買うひとには家賃が入らないわけです。所有権は子どもが持っているため、家を売却するのは子供の権利です。相続したときに設定した配偶者居住権は、売るときには放棄するしかありません。
配偶者居住権は住み続ける権利ではありますが、売却して換金できる財産ではないのです。たとえ老人ホームに入りたいと思っても配偶者居住権を換金できないため、一仕方なく自宅に住み続けるという可能性も出てきます。
ココが気になる(4) 「配偶者居住権」を選んで得するのは?
配偶者居住権を設定して最も得なのは、子どもと同居している70代以上の方でしょう。相続税のことを考えれば、子どもが得る自宅の所有権は小規模宅地特例が適用され、金融資産で受け取るよりも税額が減額される可能性がある。
また子ども夫婦との同居なら、その後の介護も含めて、生活を支えあい、老人ホームに入る選択肢がなくなっても問題が少ないのです。
ココが気になる(5) 妻と子が円満でなければどうする?
配偶者と子ども家族(嫁など)との仲がよくないときは、「配偶者居住権」を選択するほうがメリットがあります。
所有権を持つ子供が、母親を家から追い出して老人ホームへ入れるというようなことが想定されることもあるでしょう。嫁・姑問題がこじれて姑が追い出されるというようなことはあり得るのです。
そのような事態を防ぐために、「配偶者居住権」を設定しておけば、子供に遠慮することなく法的に住み続けることができるので安心です。
ココが気になる(6) 「配偶者居住権」は相続でどうなる?
二次相続(妻の死後)を考えると、税額が減るため、「配偶者居住権」により、子供も得をするケースも考えられます。
「配偶者居住権」は、配偶者の死亡により消滅します。すると、子どもへの二次相続は妻の金融資産のみとなり、相続税が軽減されるのです。
財産の額にもよりますが、「配偶者居住権」を活用することにより、子どもが節税できる可能性があります。
ココが気になる(7)「所有権」VS「配偶者居住権」? 夫の財産1億円
◆50代Aさん 子供が未婚で同居あるいは独立して1人暮らしになった
■おススメの分割方法→「遺言書」で自宅を相続する
妻8000万円 自宅所有権 6000万円 預金2000万円
子2000万円 自宅所有権 0万円 預金2000万円
※状況に合わせて売却して住み替えできることが望ましい。
◆60代Bさん 亡夫に先妻の子2人がいる後妻、1人暮らしになった
■おススメの分割方法→「遺言書」で自宅を相続する
妻8000万円 自宅所有権 6000万円 預金2000万円
子2000万円 自宅所有権 0万円 預金2000万円
※先妻の子に老後の世話にはなれず。売却して老人ホームに住み替えする。
◆70代Cさん 長男家族と同居の場合
■おススメの分割方法→相続で「配偶者居住権」を取得する
妻5000万円 居住権 3000万円 預金2000万円
子5000万円 自宅所有権3000万円 預金2000万円
※同居する子供に介護してもらい、家も相続させる。最後まで自宅で生活。
◆80代Dさん 自宅でひとり暮らし 子供は別居
■おススメの分割方法→相続で「所有権」を取得する
妻5000万円 自宅所有権 5000万円 △子へ現金2000万円
子5000万円 預金4000万円 妻より現金1000万円
※子供が同居することはないため、家は売却して老人ホームへ住み替えする
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