夢相続コラム

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ケアマネージャーが押さえておきたい 争いを防ぐ“円満相続”のポイント(1)

2021/06/08


ケアマネージャーが押さえておきたい 争いを防ぐ“円満相続”のポイント(1)

(1)相続の現状を知っておきたい
「ふつうの家庭」が相続でもめているのが現実

私は、相続対策のご提案と実務サポートをする夢相続を運営しており、相続相談を受けて、解決に向けての提案と実務のサポートをしています。相続コーディネートを始めたのは平成5年からで、いままでに1万4700人を超える方のご相談を受けており、相続の現状や本音を直にお聞きしてきました。相続の実例をまとめた著書を61冊出版し、テレビ、ラジオに出演させていただき、新聞・雑誌などにも多くの取材を頂く機会があり、いろいろな実例も紹介してきました。
相続コーディネートでは不動産の節税対策を主に提案、サポートしているので、得意分野としているのですが、ご相談で多いのは、相続になってから遺産分割がまとまらないというご家庭です。それも実のきょうだいでもめていることが大半で、何年も解決せずに悩んでおられたり、調停や裁判をして絶縁になって、大変なストレスを抱えておられることを知るにつけ、私どもでもサポートが必要だと痛感しています。いずれも「ふつうの家庭」であることが多く、もはや誰もが他人事と言えないのが相続の現実だということです。

法律だけで決めようとするから絶縁になる

相続では相続税が気になるかもしれませんが、もめるご家庭が多いことのほうが問題で、深刻だと言えます。家族間の「感情面」の問題は、理屈でなかったり、割り切れなかったりしますので、法律だけで決めようとするところに課題があるのかもしれません。
家庭裁判所の調停が年々増えていることから、未然の争いを防ぐために一昨年に民法の改正が行われました。けれども民法改正ですべてが解決するわけではなく、法律だけで決めるようするからもめる現実もあることを知って頂きたく思います。
家庭裁判所の調停や裁判は、遺産分割は決めてくれますが、家族の心情などまで救ってくれるところではありません。調停すればうまくいくと思うと大間違いで、後戻りできずに絶縁となり、後悔している人も少なくありません。 母親が亡くなった時、兄が引き出した預金があることをつきとめ、兄と調停で争ったМさん。兄は知らないの1点張りで逃げ切り、Мさんは敗訴。真実を知ることもできず、兄から絶縁状が届き、本当に悔しい思いしながら調停を終えられました。

もめる家庭には共通点がある

このようなお客様の悲痛な声を聞くたび、なぜ意思の疎通が取れなくなるのか、なぜもめてしまうのか、もめるご家庭に共通項はあるのかと常に考えてきました。それぞれのご家庭、おひとりずつ理由が違うでしょうが、相続では本音や長年の不満が表面化して、感情的に責め合ってしまうことで配慮も思いやりもなくなり、もめてしまうように感じられます。
相続になる前に、親の老後の生活のことや介護が必要になったり、認知になったときのことをどうサポートするか、親子やきょうだいで話し合い、役割分担をしていれば、すでに情報共有ができているので、相続になって主張が平行線にはなることは避けられるでしょう。
相続のことを親が元気なうちは相続の話はできないとよく言われますが、いきなり財産の話ではなく、主役である親への感謝や労りの気持ちを忘れず、長寿社会をいかに快適に、不安なく生活してもらうか、親の希望を優先しながら、子供たちがサポートするためのコミュニケーションを取ることが大事なのです。もめるご家庭は、親子、きょうだいでこうした配慮や思いやりのあるコミュニケーションが不足しているように感じられます。

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