夢相続コラム

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【価値ある相続を実現する】不動産の評価を下げて節税した実例5

2021/09/14


【価値ある相続を実現する】不動産の評価を下げて節税した実例5

納税は有価証券、計画的に節税した松下さん

□松下家のプロフィール・・・商売で成功した起業家
・相続人関係図
被相続人  父(会社社長)
相続人3人 母(会社役員)
      長男(父の会社役員、結婚後別居)
      次男(公務員、結婚後別居)

・商売を成功させた
松下さんの父親は若い頃から商売に長けている人で、文房具販売店からはじめ、コーヒーショップ9店舗を経営して成功をおさめた事業家です。経営状態は常に良好で、地元の税務署から優良法人としても表彰もされています。母親も父親とともにずっと商売を手伝ってきており、夫婦で会社を盛り立ててこられました。

・土地を購入していった
父親は自宅や店舗の土地の大部分は個人名義で取得し、会社に貸し付ける形を取ってきました。店舗は駅前や幹線道路を主として出店しており、自ずといい立地に限られます。そうした立地の土地ですから、価値も高いと言えます。

・会長職へ
父親は70歳まで社長職を務めましたが、長男の松下さんに任せることで会長職へ退きましたが、仕事が生きがいのような人ですから、毎日会社へ顔を出していました。ところが80歳になったときにいよいよ体調を崩して入院、検査の結果、大病が見つかり、都内の病院へ転院したのでした。それから亡くなるまで3ヶ月間は、母親と松下さんと弟の3人で交代で、泊まり込みで看病ができたとのこと。互いに悔いが残らない最後だったと話しておられました。

・顧問税理士だけでは不安
父親が亡くなったときの財産は、会社に貸してある土地と預金、上場会社の有価証券と自分の会社の株式で、負債はほとんどありませんでした。相続人は母親と弟の3人です。
松下さんの希望は節税して、納税を無事に終わらせることでした。会社には当然ながら以前から顧問税理士に税務を依頼しています。その税理士は税理士会の役員でもあり、税務署にも顔が利く聞いていますが、どうもそれだけでは不安だというのが本音です。しかし、長年のつきあいで会社のことは熟知しており、はすずわけにもいきません。

・任せきりにしない
そこで、本を読んでこちらに依頼してこられましたが、セカンドオピニオンという立場で土地評価や分割のアドバイスや提案をしてもらいたいとのこと。税理士にもはっきりそう宣言をして、アドバイスを優先するようにしたいとのことで、スタートしました。
松下さんは、自分でも父親の財産と評価の仕方をよく整理して、理解しておられました。税理士事務所の担当者が逆に教えを請うほどのレベルです。今回の財産評価や分割も、税理士事務所が出したものをたたき台として、自分なりの案を持っておられ、課題は既に整理されていました。

相続コーディネートのポイント

・土地評価は個々に検討
松下家の土地は、8ヶ所です。それぞれに現地確認をし、税理士事務所が出している評価はどうか、全部を検討し、議論を重ねていきました。そのなかで、いくつもの課題がみつかり、十分に節税の余地があると判断できました。

・仮登記の土地は元地主の財産
まず、農地を購入して会社が事務所を建てて利用している土地は、4筆のうち、2筆が農地転用を目的とした仮登記で父親の名前に登記が済んでいません。それは元地主の財産として父親の財産からはずすようにしました。また、残り2筆は調整区域の倍率で計算しました。税理士評価は7000万円のところ、半分以下となります。

・路線価がついていない土地は特定路線価で
区画整理地内にある土地は梅林でしたが、既に造成が終わって宅地になっています。税理士は区画整理組合の保留地の売買価格をもとに1億5000万円で評価をしてきました。しかし、路線価が基本ですから、税務署に特定路線価を申請することを指示、9200万円で評価することができました。

・貸し宅地として評価
別の法人に貸している土地があり、公正証書で契約し、20年の定期借地契約を結んでいます。当然建物は借地人名義で登記されています。ところが、税理士評価は減額のなしのままでした。貸し宅地ですから、借地権割合60%を控除し、40%の評価にしますので、当初より1億6000万円が減額できるとなりました。

・遺産分割と納税案
こちらで遺産分割案の提案をしましたが、二次相続を考えると節税対策が取れる更地は、区画整理地内にある更地1ヶ所です。それは母親にすることを基本にしました。また、松下さんは会社が利用している土地、建物を中心に、弟は不動産は借地だけとし、残りの動産はすべて母親としました。それには納税対策を視野に入れており、松下さんと弟が相続する動産は有価証券だけにしており、相続評価での物納をするためです。現金も更地の不動産も相続しないので、有価証券しか物納できる資産はないとした理由書を添付して申請をしました。

価値はココ!

○仮登記の土地は元地主の財産
農地転用を目的とした仮登記の土地は、父親の名前になっていないので、元地主の財産として父親の財産からはずす

○路線価がついていない土地は特定路線価で
路線価がついていない土地は、税務署に特定路線価を申請して、決めてもらう

○貸し宅地として評価
定期借地契約を結んでいる土地は、借地権割合を控除して、評価する

○更地は母親が相続
更地は母親の相続対策用として遺産分割のキーとした

○納税は有価証券の物納で
現金も更地の不動産も相続しないので、有価証券しか物納できる資産はないとした

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