夢相続コラム

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争族! 自己保全に走る「後妻」vs「先妻の子」、回避策はあるか?

2018/12/05


 

私は相続対策のご提案とサポートをする夢相続を運営しており、

いままでに1万4000人以上の相続相談を受けて、アドバイスやサポートをしてきました。

相続は個々に事情が違うため、相談者としてお会いして状況をお話いただくところからスタートします。

 

相続されるご家族が多様化しており、離婚や再婚はめずらしいことではなくなりました。

また、配偶者やこどもがいない方も増えてきましたので、相続のあり方も多様化しています。

遺言書も気軽に書ける時代になりましたので、法定相続人以外でも相続できる形ができつつあります。

 

とはいえ、新たなかたちでの相続は新たな相続トラブルを生むこともまた事実。

今回は、最近増えている「後妻と先妻の子供」による相続の事例をご紹介しましょう。

 

 

最近増えている「後妻」と「先妻の子供」の相続問題

 

 

12歳の年の差再婚。夫の先妻の子は祝福してくれたが

Kさん夫婦は夫が50歳の時に結婚しました。そのときKさんは38歳。12歳の年齢差も気にならずに結婚しました。

夫は前妻を亡くし、2人の息子たちも20代ですでに家を離れて独立していたので、1人暮しをしていました。

Kさんは20代で一度結婚したものの離婚していましたので、再婚するのに障害はありませんでした。

夫側の先妻の子供たちは、父親の再婚を祝福してくれて、普段から行き来もして、円満な関係にあったと言います。

Kさんには前夫との間に子供がなく、再婚した夫との間にも子供は恵まれませんでしたので、夫と2人で仲良く暮らしてきました。

 

Kさんの夫は証券関係の会社員で、定年まで勤務。

その後、子会社に再就職して70歳まで仕事をしてきましたので、経済的には大きな不安はありませんでした。

再婚後は専業主婦として生活することができたので、「あり難かった」と言います。

それでも、経済的には大きな不安はないと言いつつも、子供に恵まれなかったことは老後の生活を考えると不安要素です。

夫が亡くなったあとはどうすればいいのか、誰に頼ればいいのかと、夫婦でもそうした会話をしていました。

 

自己保全に走る後妻たち

先妻と死別して、子供が幼い頃に後妻となった場合は、一緒に生活したり、育てたりした親子の情が生まれやすいものです。

先妻の子を後妻の養子にしていることも多く、実の親子と変わらないような関係だといえます。

 

けれども、Kさんのケースのように子供が独立してからの結婚だと、先妻の子にとって後妻は母親だという認識が薄く、

一緒に生活をしていないため、親子という感情が希薄になりがちです。

そうした場合、互いに距離も生まれ、後妻からすれば老後の世話になる気はなく、

先妻の子も相続人ではないので面倒を看ようという気持ちがなくなる。

結果、後妻にとって頼れるのは先妻の子供、という形にはならないケースがほとんどです。

 

そうなると後妻が頼りにして守りたいものは夫の財産で、

「先妻の子供に渡す気はなく、全財産を自分がもらう」という気持ちになり、夫にそうした内容の遺言書を書いてもらうようにしがち。

後妻に子供がいる場合はなおさらで、そうなると遺産相続が円満にいくはずはありません。

結果、「争続」になってしまうケースが少なくありません。

 

最悪の場合、後妻が自己保全に走り、生前贈与などして財産を確保。

先妻の子どもに渡す財産はなくしてしまうこともあります。

公正証書遺言があれば、先妻の子に通知することなく遺言執行して財産を受け取り、一切教えずに済ませることさえできてしまうのです。

 

では、Kさん夫妻の場合はどうなったのか。

2人の間の子供には恵まれませんでしたが、幸いなことに夫婦で仲良く生活をしてきました。

自分が亡くなったあと、不安がないようにしてあげたいということが夫のなによりの気持ちでした。

仕事をリタイヤして時間的な余裕ができた頃、夫は図書館で見つけた本を読んで、遺言書を作ると言い出しました。

そのために相談に行くというので、夫婦で来られたのが私の会社でした。

 

夫が作った「遺言書」のすごい中身

夫が遺言書を作ろうと思った理由は、妻のKさんを守ってあげたいということからでした。

「自分のほうが一回り年上なので、多分、妻よりは早く亡くなるだろうから、

そのときに妻が困らないようにしておいてあげたいという気持ちからだ」と言います。

 

そうして「自分の全財産は妻に相続させる」という内容の遺言書ができあがりました。

そのうえで、付言事項として、「長男○○と次男○○は妻のよき相談相手になってあげて下さい。

妻の死後は遺骨を○○墓地に埋葬してあげてください。

妻の死後、自宅マンションは長男と次男へ等分の割合で相続させることを希望します」と記載したのです。

Kさんの夫は、この遺言書の文章にも表れているように、妻と先妻の子供たちの間を繋いでくれました。

じつはこれが「争続」を避けるために、非常に重要なことです。

 

今回のケースでは、法定相続分はKさんが2分の1、子供二人が4分の1ずつになります。

それなのに、「全財産はKさんに相続させる」とすれば、普通は揉める原因になります。

しかし、今回はKさんの夫がきちんと付言事項をつけることで、子供たちに配慮してくれたわけです。

しかも、遺言書の内容は二人の子供たちに事前に伝えて理解を得ていましたので、

遺留分の請求をしない約束もされていました。

 

遺言書を作成してから10年後、夫はガンが見つかり、1年ほどの闘病生活を送り、亡くなりました。

「自分がいなくなれば遺言書のとおりにするように」と言っていましたので、

Kさんは遺言書を持って手続きをしたいと当社に来られました。

夫の意思のとおりに自宅マンションや預金はKさん名義となりました。

 

先妻の子供たちは、入院時から何度も様子を見に来てくれていましたし、

葬儀や荷物の片付けなどもすべて手配をしてくれました。

遺言書についても理解しており、不服はないといい、遺留分の請求はされずに円満に相続ができたのです。

 

これは夫が用意しておいてくれた遺言書やいままでの段取りがあればこそで、

「感謝している」とおっしゃっていたのが印象的です。

 

さらに、Kさんが1人暮しになったことで、

先妻の長男は「老後、大変になれば自分が面倒を看るので近くに来ては?」と言ってくれています。

Kさんの相続人は妹で仲はいいのですが、離れたところに住んでいるため、

妹や甥姪に老後の面倒を看てというのは負担になるだろうと思えます。

 

まだ60代とはいえ、先のことは早めに決めておかないと、急にことがあっては後悔すると思うと、また、当社に相談に来られました。

最初から先妻の長男にも知っておいてもらったほうが安心だと、2人で来られたのです。

 

Kさんの老後の面倒は先妻の長男が看てくれるということですので、夫の遺言のとおりにしようと決意されました。

夫の遺言書はもう使えないため、あらためて遺言書を作る必要があります。

 

ほどなく、夫の1周忌が過ぎ、落ち着いたときにKさんは、

「マンションは先妻の子二人に2分の1ずつの割合で遺贈する。預金は妹に相続させる」という遺言書を作られました。

 

「元気なうちに遺言書ができあがり、ほっとしたので、これから不安なく生活できます。」と話してくださいました。

将来のことが互いに遺言書として担保されているので、双方の信頼となり、安心した生活をして頂けそうです。

 

 

 

※この記事は「マネー現代」にて紹介されています。

 

マネー現代:争族! 自己保全に走る「後妻」vs「先妻の子」、回避策はあるか?

      ~夫が書いた「遺言書」のすごい中身~

URL: https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56884

 

 

 

 

◆コラム執筆

 

 

 

 

 

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