夢相続コラム
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取材コラム『女性セブン』「女性が得する相続」②-2持ち家で得する
2018/12/21
「居住権」は若いほど高くなる・・・所有権が有利
居住権の価値の算定方法はまだ確定していませんが、法務省の簡易評価表によれば、
年齢が若くてその家に住むと思われる期間が長いほど居住権の価値は高くなり、逆に高齢になるほど安くなります。
つまり、50代の若さで夫に先立たれた妻の場合、居住権は高くなります。
遺産の法定相続分は変わらないため、遺産として受け取れる現金は減るわけです。
まだ先は長いのに現金が少ないのは厳しいとなります。
居住権は、一般には売却しにくいため、まだ若いなら、居住権を選択して自宅に住み続けるよりも、
状況に合わせて売却して住み替えができる所有権を選択しておいたほうが自由度が高く得策と言えるのです。
「居住権」は高齢だと少なくなる・・・居住権が有利
逆に80代になれば、平均余命に近づき、それほど長い期間住むとは考えにくいため、居住権の価値が下がり、
居住権の価値が低くなった分、現金を多く受け取れます。高齢であるほど居住権を選択した方が有利になります。
居住権と所有権が等しい金額になる分岐点は、おおむね65才前後です。
相続時に妻が65才未満なら所有権を選び、65才以上なら居住権を選ぶのがひとつの目安となるでしょう。
売却するときは「居住権放棄」しないといけない
ただし、前述の通り、居住権は第三者への売却はしにくいため、配偶者の死亡とともに消滅します。
一度登記された居住権は妻が生きている間は老人ホームへの入居や別の場所に転居したとしても消滅することはありません。
そのため、妻が居住権を持つ物件を売却するためには、妻が「居住権放棄」をして住み替える以外方法はないのです。
住まい(不動産)と手持ち資産(現金)のバランスを考え、賢く進めたいところです。
自宅は相続時のほうが費用がお得
もともと、所有権を相続する場合、妻は1億6000万円までなら相続税がかからず、
特例で2000万円までなら非課税となる『おしどり贈与』制度があるなど、相続の面で手厚く優遇されています。
自宅の価値が2000万円以下なら生前贈与したいと思うところですが、贈与は相続税に比べて費用が高くなるため、
遺言で自宅を妻に相続させた方が税金面ではお得です。
そうして妻が多くの財産を相続した場合、気をつけたいのが二次相続です。
一次相続では節税できても、子供たちが負担する相続税が増えてしまう恐れがありますので、比較して選択しましょう。
コラム執筆