夢相続コラム

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【預金】老後の現金って必要?親世代は使わない(5)

2021/04/14


親から相続するとき 知っておきたい対策のポイント
4.【預金】老後の現金って必要?親世代は使わない(5)

【実例2】母親の節税対策のために不動産贈与が効果的 Hさん

Hさん(50代)の父親は、生前、飲食店を経営しており、夫婦でずっと働き詰めでしたが、お店を繁盛させて一代で数十億円の資産を築き上げました。自宅以外には貸ビルと駐車場を所有しているものの、財産のほとんどは現預金と有価証券で、いくつもの口座を作っては少しずつ増やしていくことが商売の原動力になっていたようです。

父親は何も節税対策をしていなかったため、85歳で亡くなった時に億単位の相続税を払う必要がありました。これを教訓として、父親の財産を半分相続した母親の二次相続では同じ思いをしないように、少しでも節税をしたいので提案してほしいというご希望でした。

母親はこのときにまだ80歳前でしたが、父親の相続手続きが終わってその流れで、節税対策にもとりかかりました。相続人は長男であるHさんと3人の妹たち(50代、40代)です。

母親が相続したのは自宅と金融資産ですが、金融資産の割合が高く、そのままにすると二次相続でもまた多額の相続税が予想されました。自宅は同居する 長男が相続する予定となっていてだれも異論はありません。妹たちはそれぞれ嫁いでいますので、現金をもらえたらいいというところです。

母親の財産から1人1億円程度は贈与したほうがいいとなりましたが、現金のままでは贈与税が4800万円となり半分の現金がなくなるのです。そこで母親名義で区分マンションを1人2部屋購入し、その年は母親が賃貸事業をし、翌年、子ども4人に2部屋ずつ、贈与することにして、計画的に取り組みました。子どもたちはそれぞれ自分が贈与を受ける物件を母親と一緒に見て母親に決断してもらうようにして、8物件を購入、次に贈与が完了しました。

母親だけでは決断できなかったり、購入、贈与の手続きは進みにくいといえますので、Hさんがリードし、妹たちとも連携をとって家族で取り組んで頂いたのです。贈与は相続時精算課税制度を利用して多少の贈与税を負担して申告を済ませています。

親の相続対策を進めるためのチェックポイント【預金】

□親の預金口座がわからない
□親が預金など金融資産を教えてくれない
□親がまとまった預金をもっているか?
□親の財産は相続税がかかるか?
□親の老後はどこで生活したいか聞いていない

相続実務士のアドバイス【預金】

・銀行に預けておくことがゴールではない
・親の金融資産の確認は生前にしておくこと
・相続税がかかるか否かを早めに確認して相続対策のプランをつくる
・有料老人ホームは相続税の節税にはならない。最後まで自宅も選択肢。
・まとまった金額を残す時代ではなく、活用する時代

親の相続対策を進めるためのチェックポイント【贈与】

□親は生前贈与に理解がありそうだ
□親の相続まで待つより早くもらいたい
□親は金銭的な余裕がある
□親は納税用にお金を貯めている
□親は認知症にはなっていない

相続実務士のアドバイス【贈与】

・現金で贈与するよりは不動産にしてからのほうが効果的
・不動産で贈与する場合は賃貸事業をしたのちとする
・2500万円までは相続時精算課税制度を利用したほうが得策

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