夢相続コラム
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相続税の節税のしくみは「財産を減らすこと」+「評価を下げること」
2017/08/10
日本では、相続税の計算は累進課税方式を採用しています。
つまり、課税額が高くなるほど税率も高くなる仕組みです。
財産が多くなれば、相続税も高くなるということです。
裏を返せば、財産を減らせば相続税も少なくなるということです。
「財産を減らす」ことは節税対策になるのです。
その他にも「評価を下げる」ことも、課税額を減らすことにつながり、節税対策になります。
本記事では、相続対策に着手する前に知っておいていただきたい相続税の節税のしくみについて解説します。
「贈与」に注意しなければならない理由
相続税の節税対策において「財産を減らす」=「生前の贈与」という発想をする方は多いようです。
しかし相続税と同様に、贈与税も累進課税です。
なおかつ、相続税に比べると贈与税の基礎控除は110万円と少なく、課税額に対する相対的な税率は高くなっています。
相続税よりも贈与税が高いということにもなりかねませんので、注意が必要です。
預貯金は、金融機関に預けてある残高がそのまま財産評価となり、亡くなったら1円も減らすことはできません。
生前に対策をしておかなければならないのです。
それでは、生前にできる節税のしくみを2つご紹介しましょう。
節税のしくみ①マンションを建てると節税になる
賃貸物件を建てた土地も更地の土地よりも評価が安くなります。
土地も建物の自分のものと言っても、他人に賃貸している場合だと自分の都合で明け渡してもらうわけにはいきません。
借りている人には借家権があるので、更地評価から借地権と借家権を掛けた割合を引くことができます。
このように賃貸物件が建っている土地を「貸家建付地」と言います。
さらに、賃貸物件を建てる際の借入金は、負債としてそのまま引くことができます。
また、建物評価は固定資産税評価額となりますが、現実にかかった建築費よりも40%~60%と低く評価されています。
それを賃貸していれば、借家権を差し引いて70%で評価します。
このような貸家建付地の評価減、建物の評価減、負債のマイナスを総合するとかなりの減額となり、相続税は確実に安くできるというわけです。
また小規模事業用宅地等評価減の特例があり、条件に当てはまれば200㎡までは50%で評価をすることもできます。
このように、賃貸物件では相続税が確実に安くなるので、節税対策としては手堅い方法といえます。
節税のしくみ②現金を不動産に替えると節税になる
一般的に土地の評価額の関係は、以下のように調整されています。
公示価格(時価相当額、売買されている指標数字):100% 路線価(相続税評価額、相続贈与の財産評価の価額):80% 固定資産税評価額(市役所が固定資産税課税するために評価する価額):70%
例えば、建物5000万円、土地5000万円、計1億円の新築マンションの一室を買った場合、相続税評価額は以下のようになります。
(1)建物の評価額は、新築の場合、購入価額のおよそ50%の固定資産税評価額になります。
5000万円×50%=2500万円
賃貸すると“貸家”となって借家権割合が控除でき、2500万×70%=1750万円となります。
(2)土地の評価額は、購入価格の80%です。
5000万×80%=4000万
賃貸すると“貸家建付地”となって借地権割合×借家権割合が控除でき、4000万円×(1-(0.6×0.3))=3280万円となります。
(3)建物と土地の相続税評価額
(1)と(2)を足して、1750万円+3280万円=5030万円となります。
物件購入代金で現金が1億円減少する上、相続財産も1億円減少します。
増える建物と土地の相続財産は、5030万です。
差し引き4970万円、相続財産の評価額が減少しますので、評価は約半分になります。
節税のしくみ③相続発生後でも「評価を下げる」ことはできる
亡くなった日の財産は一定ですから、財産評価も一定で、相続税が安くできるわけがないと思う方も多いでしょう。
しかし、相続発生後に相続税を節税する方法があるのです。
1つ目は、相続税の申告時に財産評価を下げることです。
評価を下げれば相続税も下がります。
たとえば、土地の評価の仕方にはいくつかの方法があり、個々の状況によって評価をしてよいことになっています。
利用の状況に合わせて評価をすれば評価減を引き出すことができます。
評価を下げる要因はいくつもあり、要因を2つ、3つと積み重ねていくことで、評価減を引き出します。
2つ目は、納税を少なくすることです。
たとえば、配偶者の税額軽減の特例などを効果的に利用することで、納税額を大幅に減らすことができます。
このように、相続税節税の基本は「評価を下げること」「納税を少なくすること」。
生前対策はもちろんのこと、亡くなってからでも「評価を下げること」「納税を少なくすること」の両方で相続税を安くすることができるのです。
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