夢相続コラム
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【相続実例コラム】土地活用:延納の収入を賃貸収入で確保する川井さん
2020/06/01
【相続実例コラム】土地活用:延納の収入を賃貸収入で確保する川井さん
●川井家のプロフィール・・・土地が財産の大部分
・相続人関係図
被相続人 父(農業、不動産賃貸業)
相続人4人 母(農業)
長男(会社員、他県で生活している)
次男(自営業、父親から土地を購入、自宅を建てている
別の父親の土地に建物を建てて自営)
長女(離婚後、父親の土地に建物を建てて住んでいる)
川井家は代々農家でしたが、都市化が進み、農地のまわりは住宅が建て込んできたことから、祖父の代から貸家を建ててきました。父親は長男ですから、祖父が亡くなったときに一部は弟、妹に分けましたが、大部分を父親が相続してきました。土地は3カ所あり、自宅との農地が一体にある土地、貸家と畑が地続きとなった土地、貸家だけの土地です。
70代になり、農業は母親と二人で楽しみ程度に続けていましたが、体調を崩して入院し、1年程度の入退院で亡くなってしまいました。
川井家の長男は仕事の都合で中国地方に住み、そちらで自宅を購入しています。次男の川井さんは、貸家の土地の一部を父親から購入して、自分で家を建てて住んでいます。一番下の妹が実家の敷地の一部に家を建てて住んでいます。
相続といえば長男が取り仕切ることが多いのですが、川井家の長男はかなり離れたところで行き来がままならないため、すぐ近くに住む川井さんが中心となり、相続の手続きをすることになりました。
川井家の財産の大部分が土地で、現金はほとんどありません。川井さんは、相続税がどれくらいになるのか不安で、本を読んでみたとのこと。土地の評価で相続税が安くなればということで依頼を受けました。
●相続コーディネートのポイント
・遺産分割・・・特例を最大限に利用
農地の納税猶予を受けるのは配偶者が適任です。納税猶予は配偶者が受けるとして、他に財産の50%まで無税の特例を受けることが節税を最大限にすることになります。よって、今回は両方の特例を受けられるようにしました。
・遺産分割・・・母親の相続割合は子供との共有で調整
母親が相続する土地は、第一に節税対策ができるところとしました。貸家の土地と生産緑地の指定がない畑が候補地ですが、それでは50%を満たしません、そこで、将来の分け方も決めてもらい、自宅は長男と母親の共有、貸家の一部を次男と共有というところで50%になるように調整しました。
・評価・・・大きな土地は評価減できる
川井家の土地は3カ所ですが、それも自宅、農地、貸家、畑などが混在しています。それぞれ用途に分けた評価をしますが、面積が大きい畑などは評価が下がる可能性があります。まずは、測量をして地形と面積を出し、宅地の区画割り図を作成、有効宅地率を出して計算していくことで評価が下げられます。井上家の場合は、2カ所の畑と貸家の土地を測量、減額しました。
・評価・・・特定路線価を申請する
貸家が6棟建っている土地の前面道路は路線価がついていませんでした。こうした場合は、税務署に申請をして、個別に路線価をつけてもらうのですが、たいていはまわりの公道よりも低い評価になります。これも減額につながりました。
・納税・・・農地の納税猶予を受ける
もう1カ所の農地は生産緑地の指定があり、営農しなくてはなりません。これは母親が相続するとし、納税猶予を受けました。これで納税を免除、猶予された割合は63.5%となり、13.5%は計画的に納税を減らせたことになります。
但し、それだけ母親の相続した割合が多いので、節税対策は不可欠です。
・納税・・・子供は全員延納する
川井さんは、当初は、自分の住まいの隣接にある貸家の土地を納税用と考えていました。現在は貸家5棟が建っていますが、すでに老朽化して空いた2棟の貸家は解体して更地にしてありました。約70坪で、売却や物納することも可能でしたが、道路側の70坪を納税に充ててしまうと残りが変形地になります。また、納税は予定よりも半分程度になったので延納して分割払いしても大きな負担にはならないと判断し、延納としました。
☆資産価値を高める対策・・・土地を残して母親の節税対策をする
納税用と考えていた貸家の土地の一部は、無くしてしまうと残る土地は全体の真ん中が凹んだ変形地になってしまいます。たまたま空いた2棟を解体した結果がその場所だったのですが、両側が貸家のまま、70坪を売却しても、ともにアンバランスな感じになると思えます。そこで納税は延納するとし、貸家の土地の3分の2は母親が相続し、賃貸中の3軒に明け渡しをしてもらうようにしました。その後、有効利用し、節税対策としました。残る3分の1は兄が相続、しばらくは貸家のまま維持していきます。
●相続の価値はココ!
○遺産分割
配偶者の特例を最大限に受けられるような割合とした
農地の納税猶予と配偶者の税額軽減の両方を受けて、最大限の節税をした
母親が相続する土地は、節税対策ができるところとし、子供との共有で割合を調整した
○評価
面積が大きい畑を評価減する
測量をして地形と面積を出し、宅地の区画割り図を作成、有効宅地率を出して減額した
路線価がついていない土地は個別に路線価をつけ評価する
貸家は測量し、配置図を作成して、個々に評価することで減額した
○納税
納税を免除、猶予された割合は63.5%となり、13.5%は計画的に納税を減らせた
納税は予定よりも半分程度になったので延納して分割払いとした
配偶者の特例と納税猶予の特例をダブルに利用
○資産継承
納税用と考えていた貸家の土地を残して、母親が相続し、有効利用した
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