夢相続コラム

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【相続相談の達人コラム】“相続税の節税対策”の名目で9億円の物件を売りつけられる!

2019/07/08


●相談者   :Kさん(50代・男性)・職業 会社員
●被相続人(推定):父親 不動産賃貸業 80代
●相続人(推定) :3人 母親80代、長男(本人)50代、二男、長女
●財産内容   :自宅、マンション、駐車場、現金等

相続事情

Kさん(50代男性)の父親は、親から相続した複数の土地を持つ地主です。
どの土地も最寄り駅から徒歩5分程度で、立地は悪くありません。すでに節税対策として、賃貸マンションを建てていますが、それでもまだ相続税がかかると予想されます。

相続税の改正も決まったことから、何か対策をしなくてはと考えているところに取引する信託銀行から、賃貸物件を購入しないかと紹介されました。

その物件は、高齢者住宅の土地、建物で、上場会社が運営して稼働しています。所有者は地元の建築会社で、築3年の物件を手放して、新たに取得するのが売却の理由だということです。

これが課題

信託銀行が購入を勧める理由は、借入を作れば節税になるからで、売買代金の9億円を全額貸し付けしてもいいというのです。
全額の借入が不安であれば、所有地の一部を売却して3億円くらいを捻出して残る6億円を借り入れする方法もあると説明されました。しかし購入する物件の額が大きいので、決断してよいものかと、相談に来られたのです。

Kさんが紹介されている物件の内容を確認してみると、どう考えても販売額は割高です。土地の再利用ができるかというと、奥に細長い土地で、他の用途に使いにくい地形であり、購入した価格で売却することは不可能だと言えます。

相続相談でのアドバイス

購入を勧められている土地は最寄り駅から徒歩15分以上かかる立地で、ところが売却を勧められている所有地は最寄り駅より徒歩5分程度の土地で、価値は2倍近くあるのですから、それを売却してまでも価値の低い物件を購入するメリットはないと言えます。

借入するために、資産価値を落としてまで負債を抱え込むことは危険と判断するしかないとアドバイスしたところ、「やはり、そうですね。」と納得され、購入はしないと決められました。
聞いただけで無謀な内容なのですが、銀行から勧められると、いいのかなと思ってしまうのでしょう。そこは冷静に、見極めることが必要です。

それにしても“節税対策”と言って、リスクが高くても融資をつけて売ろうというのは、あきらかにお客様目線ではないと感じます。

この事例の教訓

・資産価値を落とす資産組み替えは本末転倒
  →価値のある相続対策にしたい

・融資のために不動産購入するのは本末転倒
  →ビジネス目的で、誠意がない

頼むなら、こんな専門家を探したい

・顧客のメリットを優先してくれること
・相続の全体像を把握したアドバイスをしてくれること

 

遺産相続評論家・相続実務士のアドバイス

Kさんのご相談は金融機関が融資をして、系列の不動産会社の物件を売りつけたいための提案で、お客様のためを思っての提案ではないということが明らかです。
「相続税の節税対策」という大前提はよしとしても、収支が合わないような対策や資産価値を落としてまでする対策は本末転倒と言えます。

資産価値があがる対策であること、賃貸事業なら収支が合うことは必須条件として冷静に見極めることが必要でしょう。そのため、自分たちだけで判断しようということよりも、専門家の意見を聞いてみようと思って頂くことが対策の1つと言えます。

 

 

コラム執筆

【相続実務士】の創始者として1万4500件の相続相談に対処。夢相続を運営し、感情面、経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。

 

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