夢相続コラム

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【相続税を減らす生前の不動産対策】「資産組替」

2019/07/19


空家の実家を売却して資産組み替えした坂上さん

生前:節税のキーワード「評価を下げる」+「財産を減らす」

[問題]誰も住まない実家は金食い虫

坂上さんの父親は、一昨年亡くなり、自宅の土地、建物などは長女の坂上さんが相続しました。2人の妹には現金を相続することで円満に手続きはできています。
坂上さんは父親とは同居をしておらず、独身のため、一人暮らしです。高齢になった父親の世話をする必要もあり、父親が80代になってからはフルタイムの仕事をすることはできませんでした。母親は20年も前に既に他界しており、妹2人は嫁いで離れたところに住んでいるため、比較的近くに住み、独身の坂上さんが父親の世話を引き受けたのです。

父親が亡くなったとき、相続財産のなかで大きな割合を占める自宅不動産をどうするかが課題でした。自分の住まいとは離れているため、父親が亡くなったからと言っても、もう住むつもりはありません。そうなると、住まない父親の家を持っていても収益もなく、所有することで固定資産税などの税金が掛かるだけです。

[対策1]空家の実家は売却

建物を壊してアパートを建て、不動産収入を得る事も検討しましたが、なにより、自分の住まいと離れていることから、思い切って売却して、立地のいい地域で収益不動産(賃貸マンション)を購入する事を提案しました。
父親の家は、閑静な住宅街にあり、面積は180坪ほどあります。幸い、二方が道路に面した整形地なので、建て売り住宅に適しています。そうした好条件が幸いし、ほどなく売却ができました。

[対策2]2つの区分マンションに分けて賃貸

賃貸経営は、ひとつにまとめるよりは分けた方がリスク分散ができると判断しました。また、将来の相続で2人の妹に分けるときも、二つの方が分けやすくなります。
そこで、立地を替えて、ほぼ同程度の2つの区分マンションを購入し、それぞれ賃貸しました。物件を購入する際には、駅に近く環境もよいこと、売却するにも流通しやすい価格帯にすることなどを基準にしました。
坂上さんは60代ですので、これから仕事を探すことは難しいため、その代わりに父親から相続した自宅を資産組み替えすることで、毎月、安定した賃料を得ることができ、生活の基盤も確保できるようになりました。

[対策3]生命保険の非課税枠を活用する

坂上さんの相続はまだ先だとしても、今後、家賃が貯まっていくことを想定すると、さらに節税効果を高めたほうがよいため、相続した有価証券のうち1000万円を換金し、500万円の保険、2口に入りました。それぞれの妹を受取人としています。これで生命保険の非課税枠1000万円が使えることになり、節税になります。
坂上さんは、以上の対策により、空き家をかかえ生活費として預金を切り崩していくような不安から解消され、毎月安定した収入を得るようになったことで、落ち着いた生活を取り戻すことができたのです。

[ご家族の状況]

○依頼者   坂上さん(女性・60才代) ・職業 無職
○家族関係  長女(本人)、妹2人
○財産の内容 自宅、預金

[相続税予想額]

相続財産  1億 300万円
基礎控除(相続人2人)    4200万円
課税価格    6100万円
相続税予想額     820万円①

 

[対策後の相続税予想額]

自宅不動産を売却   △7600万円 ※費用、税金は売買代金より充当
賃貸不動産の購入   +2280万円 ※2物件購入
生命保険に加入   △1000万円 ※有価証券を生命保険に、非課税枠
対策後の課税価格    3980万円
基礎控除(相続人2人)    4200万円
課税価格       0万円
相続税予想額       0万円②
   
【節税額】     820万円①-②

【資産組換】相続した土地を守るより価値を上げて残す 資産組み替えする

◇土地を売却して建物に換える

多くの土地や大きな土地を所有する場合、そのままでは節税対策はできません。土地の一部は売却して、売却代金で建物を建てたり、賃貸マンションを購入したりし、収益を上げられる不動産に組み換えていくことで節税になるのです。たとえば、古アパートを所有しているが、賃料が安く、収益が上がらなくなった場合は、売却して、駅近郊の収益物件を購入することで、収益も改善されます。

◇所有他の立地を替えるために買い替え

所有している土地が賃貸事業に適していないこともあります。賃貸にするのであれば、最寄り駅からの距離が徒歩10分程度であることが第一条件です。周辺の住環境なども重要になりますが、所有地だけにそうした条件は今から選べません。賃貸事業をするのであれば、適地であるかそうでないかを冷静に判断し、適さないとわかれば、その土地を売却して、別の方法で賃貸事業をするようにします。これが資産組み替えです。

賃貸するのであれば、最寄り駅から近いことや周辺の環境や立地のブランドなどを選択基準とするようにすると賃貸や売却にも有利になります。

 

 

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