夢相続コラム
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2棟の賃貸マンションの建設で譲渡税・相続税を節税
2022/12/28
2棟の賃貸マンションの建設で譲渡税・相続税を節税
●依頼者 松村さん(女性・70才代)
●職業 不動産賃貸業
●家族関係 本人70代、長女50代、長男40代、二女40代
●財産の内容 土地(85.07%)、建物(5.6%)、現金・預貯金(9.33%)
◆課題:夫から相続した店舗を売却したので賃貸収入が減った
松村さんは、亡くなった夫から自宅や貸店舗を相続しました。夫は公証役場で公正証書遺言を作成していましたので、安心していましたが、いざ遺言を執行しようとすると、うまくいかないことがわかりました。
納税のために売却する土地が松村さんと長女の共有になっていたり、次女と長男には売却に適さない土地しかなく、納税できないなどの内容だったのです。
さらに、夫が小売店を経営していた当時の銀行借り入れも残ったままになっています。相続税の申告だけでなく、納税や返済も含めて、家族の意見の調整をしてくれるところを探して当社に依頼をしてこられたのです。
◆STEP 1:貸店舗を売って事業用資産の買換え特例を利用
そこで、節税と納税ができる遺産分割に変更し、相続税の申告のめどを立てました。納税については、銀行への返済と納税額に足りるように、貸店舗と隣接する駐車場を合わせて賃借人に売却しました。売却したのは、貸店舗と駐車場、空き地が一体となったところです。それで子供は納税ができ、銀行の負債を相続した松村さんは返済ができました。
しかし、納税のない松村さんは譲渡税をそのまま払うよりも事業用資産の買換え特例を利用して、譲渡税4000万円を繰り延べすることを提案しました。使える現金を4000万円残すことができるからです。
◆STEP 2:分けられるように2棟の賃貸マンションを建てる
事業用資産の買換え特例の要件を満たすために、別の所有地に新たな賃貸住宅を建てることを提案しました。その土地は松村さんと娘2人の共有です。そこで、2次相続でそれぞれに分けられるよう2棟の賃貸マンションを建てるようにしました。
この土地に2棟の賃貸マンションを建設することにより、譲渡税の節税だけでなく、相続税の節税もでき、円滑な分割にも配慮した活用となりました。事業用資産の買換え特例を利用しますが、現金は残したまま、事業資金は借り入れました。
◆STEP 3:売却資金で賃貸マンションを購入
売却代金の残りもあり、毎年の賃貸収入も残っていくため、数年も経つと松村さんの預金はまとまった額になります。その後も現金が増えていくと相続税は増えていきます。そこで現金を使って収益不動産を購入することを提案しました。空室リスクが低く、売却して換金しやすいエリアに絞り、子供たちへ分けられることも考えました。現金の不足額は銀行借り入れをすることで3つの物件を購入することができ、節税も実現できたのです。
◆STEP 4:自宅を建て替える
自宅の土地は363坪と広いのですが、一人住まいで、収益が生まれません。固定資産税も高く、草取りなどの作業も大変になってきたこと、建物が築30年近くなり老朽化してきたことや、まだ相続税がかかることが予想され、対策が必要でした。
そこで、自宅併用の賃貸住宅に建て替えることを提案したところ、夫の相続税が大変だったことから、効果が見込めるのであればと決断されました。
敷地は東、南、西の三方が道路に面しており、北側以外は圧迫感がありません。周辺の2階建て住居と差別化するためにも、鉄筋コンクリート造5階建てにしました。1LDK23戸、事業費は3億2500万円です。
この事業を進めることで長男一家の住居も建てることができ、老後の不安もなくなりました。
◆STEP5 節税効果
対策前の評価額 5億2700万円
→土地の評価 小規模宅地等の特例 ▼2500万円減
→自宅併用マンションの建設(借り入れ、建物資産増、貸家建付地評価) ▼2億5100万円減
→区分マンションの購入(購入資金、借り入れ、建物資産増) ▼9100万円減
<対策による評価減額>3億6700万円
<対策後の相続税額>1億4060万円→1640万円 ▼1億2420万円減
対策後の評価額 1億6000万円
◆対策のポイント
(1)事業用資産の買い替え特例を利用すれば、譲渡税が繰り延べできる
(2)事業用資産の買い替え特例を利用しても売却代金は手元に残し、借り入れで賃貸住宅を取得してもよい
(3)次の相続で分けられるように、複数の賃貸住宅にする
(4)固定資産税の持ち出しにならないように、自宅も収益を生むことを考える
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