夢相続コラム
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母親が相続した財産の大半が「現金・預貯金」なので・・・
2023/01/11
母親が相続した財産の大半が「現金・預貯金」なので・・・
●依頼者 平井さん(男性・60代)
●職業 会社経営
●家族関係 母80代、長男(本人)60代、次男60代、三男60代、長女50代、次女50代
●財産の内容 現金・預貯金(76.63%)、有価証券(3.83%)、土地(19.42%)、建物(0.12%)
◆課題:父親は節税対策をせずに亡くなった
平井さんの父親は、生前、会社を経営していました。夫婦でずっと働いて、会社を繁盛させてきましたので、一代で数十億円の資産を築き上げました。自宅以外には貸ビルと駐車場を所有しているものの、財産のほとんどは現金・預貯金と有価証券です。いくつもの口座を作っては少しずつ増やしていくことが生きがいであり、仕事の原動力になっていたようです。
財産が増えていったにもかかわらず、両親はずっと変わらず質素な生活でした。子供にも甘やかすことはなく、厳しかったと平井さんはいいます。平井さんも自分で会社を経営していますが、親に頼ることはできなかったため、別の地域で独立しました。
昨年、父親が亡くなりましたが、何ら節税対策をしていなかったことはわかっていました。確認してみると、予想を超えた財産額となり、家族全員が本当に驚きました。財産の額が大きいため、相続に慣れたところにサポートしてもらいたいと、当社に委託されたのです。
父親の財産は、預金口座が多いのはともかく、有価証券は、数十人もの架空名義までありました。父親なりの節税を考えていたのかと思われるのですが、残念ながら、架空名義や家族名義のものもすべてを相続財産として申告しなければなりません。結果、10億円を超える相続税を支払うことになりました。
これを教訓として、母親の相続では、少しでも節税したいと思われたのも無理はありません。当社も同様で、父親の申告手続き中から母親の節税対策をご提案したところ、老朽化した自宅を取り壊して、賃貸マンションの建設を決断されました。
◆STEP 1:現金で不動産を購入し子供に贈与する
母親は財産の半分を相続しましたが、ほとんどが現金・預貯金です。そのままにすると2次相続でもまた多額の相続税が予想されたため、将来自宅を相続する予定の長男を除く子供4人に2億円ずつ生前贈与して、現金を減らすようにしました。
しかし、現金のままではなく、母親名義で不動産を購入し、それぞれに不動産で贈与することにしました。
現金で贈与した場合の贈与税は3億8880万円ですが、賃貸不動産に換えてから贈与する場合は1億4880万円になりますので、2億4000万円の贈与税の節約になるわけです。
◆STEP 2:自宅を買い替え賃貸マンションを建設
現在、母親が住んでいる自宅は、築30年を超えて老朽化が進み、建て替えの時期が来ていました。その土地に建て替えることもできましたが、土地が広いことや節税対策として活用するために、自宅は別に購入することを選択されました。
そこで、現在の自宅があるところよりも資産価値の高いエリアを探して、現金で自宅となる不動産を購入しました。「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の特例」を活用して、平井さんが母親から1000万円の贈与を受け、共有名義にしました。
◆STEP 3:現金で賃貸マンションを購入
こうして新しい自宅に転居することができましたので、今まで住んでいた自宅は取り壊し、節税対策として、賃貸マンションを建設するようにしたのです。
賃貸マンションを建てることで、土地全体が貸家建付地となり、父親の相続では減額できなかった土地の評価減が18%できることになりました。
さらに、事業費の6億円は、借り入れではなく、父親から相続した現金を使うようにしましたので、現金が建物に換わります。これも大きく節税を引き出す要因になりました。
◆STEP4 節税効果
対策前の評価額 26億1006万円
→自宅の購入 ▼8164万円
→土地の評価 小規模宅地等の特例 ▼5760万円減
→賃貸マンションの建設(建物資産増 貸家建付地評価) ▼5億965万円
→収益不動産を購入し贈与(不動産購入、子供へ贈与) ▼8億円減
<対策による評価減額>14億4889万円
<対策後の相続税額>10億6503万円→3億6053万円 ▼7億450万円減
対策後の評価額 11億6117万円
◆対策のポイント
(1)現金で不動産を購入して贈与するほうが、現金を贈与するよりも贈与税の節税になる
(2)老朽化した自宅を取り壊して、賃貸マンションを建設することで借家建付地とした
(3)現金で建物を建てることで節税し、借り入れ返済が不要で安心した賃料収入確保した
弊社では様々なプランをご用意しております。
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