夢相続コラム
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【もめない遺言書】認知した子がいる吉田さん
2022/11/17
【もめない遺言書】認知した子がいる吉田さん
◆相続関係者
●遺言作成者 吉田正作さん・70代 会社役員
●推定相続人 妻、亡長女の子3人・次女・三女・長男、認知した子
◆家族と相続の状況〈資産家だけに認知した子があり、家族関係が複雑〉
吉田家の家業は天保時代創業の造り酒屋です。近江商人で地元に大きなお屋敷や土地がありながら、商売は他県を拠点として、さらに財産を増やしてきました。大地主の家柄で資産家ですので、地元でも商売をする土地でもお寺や神社の総代を務めてきました。長男の吉田さんが家督相続の時代に家長として、先代からの名前も踏襲するとともに財産も相続していますが、兄弟をはじめとする親族もその財産の恩恵で生活をしてきました。
吉田家は造り酒屋の他に、自動車販売会社も経営しています。地元を中心にも何店舗も出店している中堅会社です。両社の実務は弟や甥が運営し、吉田さんは会長として親族をまとめてきました。そのため多忙を極め、子供が幼い頃はほとんど家に帰らないばかりか、ほとんどを愛人宅で生活し、長女と同年代の子供も生まれて、認知しているのです。
3人の娘はそれぞれ嫁いで子供に恵まれましたが、不幸なことに長女は事故で亡くなってしまい、3人の子供が長女の代襲相続人となります。
◆遺言を作る理由〈跡取りの長男に財産や会社を相続させたい〉
吉田さんは60代半ばで病が発覚し、入院、手術を余儀なくされました。このことがきっかけとなり、ようやく本宅に戻って家族と生活をするようになったのです。大病したことから、妻や娘の懇願もあって、いよいよ、遺言書を作っておくことを決意しました。
吉田さんの希望は、長男が吉田家の跡取りとして財産や会社を継いでもらいたいということです。そのためには財産争いにならないように遺言が必要になります。
吉田さんの個人財産は不動産が多く会社の株もあります。そこで配偶者の特例を活かしながら長男に財産の多くを相続させるために、不動産と株などの財産を妻と長男が等分に相続し、嫁いだ娘たちと亡長女の子供にはそれぞれ現金を分与すること、認知した子には母親が住んでいた家や相当の金銭を贈与してきたので分与はないという内容にしました。
不平がでないように娘たちや認知した子には事前に理解を得ておき、さらに不言事項にも協力してもらうように心情を加えました。これで吉田家の会社と不動産は長男に継承してもらえると安心しました。節税のため妻に半分の財産分与をしましたが、妻も吉田さんと同様の遺言を書く予定で時期を考えているところです。
◆遺言がないと困ること
・認知した子と分割協議をしなければならず他の相続人と円満にいかないと想像される
・長女がすでに亡くなっており3人の子が代襲相続人となる(未成年者は父親が代理人)
・同族会社の株は後継者に相続させたい
◆相続実務士からワンポイントアドバイス
認知した子と実子は戸籍上きょうだいでも感情面で受け入れられる人は少ない。過去の 話や余計な感情を引き出さないためには「会わない」選択も必要になる。
◆知って得する遺言のイロハ
過去の贈与(特別受益)は相続財産の対象になり、遺産分割の対象とする
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