夢相続コラム
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【相続相談事例】もしもの時に備えた遺言書~予備的な遺言~
2022/03/02
【相続相談事例】もしもの時に備えた遺言書~予備的な遺言~
【家族構成】
父:健常
母:認知症
長女:若年性認知症、嫁いだが夫は既に他界、子供と同居中、子供が後見人
長男(相談者):妻あり、父母と子供と同居中
【父の財産構成】
ご自宅(土地評価額1,000万円、建物評価額1,000万円)
現預金 2,000万円
父が高齢となり、母が認知症と診断された
相談者は姉を除いたご家族の三世帯で同居中です。父が高齢となり、更に母が認知症と診断されたので、相続に対して漠然とした不安があるということで相談にみえました。母は認知症と診断されましたが、ヘルパーさんにも協力を仰ぎ、自宅で一緒に暮らしています。
現状分析
まずはご両親の財産状況を伺いました。財産はほぼ全て父の名義となっています。資産を概算したところ、基礎控除額を下回ったので、相続税は発生しない想定です。母と長女は、現在ご病気患っており、意思決定能力が欠如していると判断されます。
財産をお持ちの父が亡くなった場合に、遺産分割協議の発生が想定されます。その際の一番の問題は、相続人の方で遺産分割協議が進行しない可能性があるということです。
こちらを解決するために公正証書遺言の作成を勧めました。
公正証書遺言の内容
相談者から後日、次の文案が届きました。
〇不動産 自宅の土地、建物→長男
〇現預金 →長女
〇不動産・現預金以外の動産等→長男
こちらの内容に関しては、特段問題ありません。財産の額もおよそ均等に分配されるので、遺留分請求の心配もありません。
ただし一点だけ、こちらからアドバイスさせていただきました。それが予備的な遺言を追加することです。内容は次になります。
「もし既に長男が亡くなっていた場合、不動産は長男の子供に相続する」
理由は、現金であれば相続人に分けやすいので問題ないが、不動産はそうではないためです。もし父より先に長男が亡くなっていた場合、不動産は法定相続人の共有となり、再度協議が必要となります。その場合の法定割合は次になります。
母1/2、長女1/4、そして残りの1/4は長男の代襲相続人である子供達に等分
母と長女に意思決定能力があれば、その際に遺産分割協議を行い、一旦は母に相続させる等出来るのですが、今回のケースでは母と長女が認知症のため出来ません。後見人にも資産分割協議の代理権はありますが、基本的には,法定相続分が被後見人の取り分と考えて,その相当額の財産を被後見人が取得できるように協議に臨むことになります。そうなると不動産が共有名義となってしまうのです。
そちらを想定しあらかじめ予備的な遺言として、もしもの場合「不動産は長男の子供に相続する」というものを残しておけば、遺産分割協義を行う必要がなくなり、不動産の共有も防げます。
今回のポイント
・ご家族に認知症等の方がいる場合は事前に対策を行う
・多くの可能性を想定し、必要と判断されれば、予備的な遺言を残す
弊社では公正証書遺言作成の委託を承っております。まずはお気軽に、無料相談のご依頼を下さい。
弊社では様々なプランをご用意しております。
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相続実務士
住吉 信哉(すみよし しんや)
相続実務士、宅地建物取引士、AFP、2級ファイナンシャルプランニング・技能士、賃貸不動産経営管理士
相続のご相談は一人ひとりが異なります。どのようなケースでも対応できるよう、日々精進しております。
皆様の相続が幸せにつながるように、誠実に取り組んでまいります。