夢相続コラム
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【遺言を作る人のそれぞれの事情】不動産の所有を決めておきたかった
2022/11/24
【遺言を作る人のそれぞれの事情】不動産の所有を決めておきたかった
◆相続関係者
●遺言作成者 伊藤キヨさん・70代
●推定相続人 亡長男の子二人、長女(相談者は亡長男の妻)
◆家族と相続の状況〈義父の相続では義母の考えに任せた〉
伊藤久美子さん夫婦は二人の子供に恵まれ、両親宅の隣に家を建てて生活をしてきました。夫は長男なので、両親の面倒を看るのは当然と考えてきましたが、夫の方が先に亡くなってしまったのです。その後、義父が亡くなりましたが、夫の代襲相続人である二人の子供はまだ学生でしたので、遺産分割については義母の考えに任せました。
義父の相続人は義母と夫の妹、伊藤さんの二人の子どもの4人。義父の財産は自宅と賃貸ビルと預貯金があり、相続税の申告も必要でした。財産分与に関しては義父のメモがあり、賃貸ビルは伊藤さんの子どもに相続させたいと書いてありました。ところが、義母が賃貸収入は生活費として必要なので、賃貸ビルは相続すると言いだしました。その方が節税になると税理士からも説明されては承諾するしかありません。結局、義父の財産は何ももらわないままですが、義妹は義母から家賃を分けてもらっているようです。
◆遺言を作る理由〈遺言がないと賃貸ビルが義妹のものになるかもしれない〉
義父の相続では、弁護士の案で義母が亡くなったときに賃貸ビルを二人の子供に贈与する死因贈与契約を締結し、公正証書にして贈与予約の仮登記も設定しました。弁護士から「これで90%は大丈夫」と説明を受けたものの不安が残っていました。
そんなとき、たまたま講演を聴いたことから相続コーディネーターに相談すると、義母が義妹に相続させるという遺言を作れば実現してしまうことや、今のままでは、義妹の協力がないと登記ができない状況でもあるため、やはり義母に「賃貸ビルは絵美と哲也に等分に相続させる」という内容の遺言書を作ってもらうことがよいとアドバイスされました。また、合わせて義妹の同意も得ておくようにとも言われました。
そこで伊藤さんは義母、義妹、二人の子供と家族会議を開き、賃貸ビルは絵美と哲也が相続することで合意を得ました。そして、義母に公正証書遺言を作ってもらうことができたので、義妹とももめることなく相続を迎えることができると安堵しました。義母もみなが集まって話をすることで納得できたようで胸のつかえが下りたようです。
◆遺言がないと困ること
・死因贈与契約は他の相続人の協力が必要になる
・義妹が賃貸ビルを欲しいと言い出すかもしれない
・義妹が義母に自分が有利な遺言を作るかもしれない
◆相続実務士からワンポイントアドバイス
家族会議を開いて全員の意思確認ができたことで、相続時の争いが回避され、不安が解 消される。その上で遺言を作っておくことが理想的。その場で険悪になる場合は要注意。
◆知って得する遺言のイロハ
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