【相続の教科書】遺言書があってももめる5　会社を継いだのに妹に裏切られた

遺言

2022/08/23

【相続の教科書】遺言書があってももめる5　会社を継いだのに妹に裏切られた

◆Ｋさんのプロフィール

会社員

＜相続人関係図＞

被相続人　父　実母は故人

相続人　長女（本人）・次女、次女の夫（養子）　３人

◆次女の夫が婿養子になった

Ｋさんの父親は土建業の会社を経営してきましたが、子供は娘２人だったことから、

長女のＫさんの夫が父親の会社を手伝っていました。父親からは婿養子になってもらいたいという申し出がありましたが、夫は一人息子でもあり、名字が変わるのには抵抗があり、実現しないのままとなっていました。父親としては仕事の跡継ぎよりも、家の跡継ぎがほしいという希望の方が強かったようです。

そこで家族で話し合った結果、妹の夫が婿養子になることを了承し、一段落したのです。

◆会社の経営権も土地も自由にならない

妹夫婦は両親と同居しているわけでなく、夫婦で調剤薬局を営んでいます。Ｋさん夫婦は父親の土地に家を建てて両親宅の近くに住んでおり、夫が父親の会社を継承して代表になっています。父親も会社は金子さんの夫に任せると公言していました。

ところが父親が亡くなったとき、妹から父親の公正証書遺言が提示されましたが、Ｋさん夫婦はその内容に愕然とせざるを得ませんでした。

Ｋさんの夫が引き継ぐ会社の株は経営にタッチしない妹夫婦が７５％、Ｋさんが１５％、代表者であるＫさんの夫が１０％されていました。会社が使用する土地、建物は、妹が相続することになっており、納税のために物納か売却するつもりだと宣言されました。Ｋさん夫婦にとってはあまりに不条理な遺言で、どう考えても父親の意思で書いた内容とは思えません。これだけでＫさん夫婦と妹夫婦の仲は険悪となってしまいました。

◆姉妹の仲を裂くための遺言書

Ｋさんには自宅の土地だけ相続させるとなっていますが、隣接する駐車場はわざわざ服筆して妹のものになります。妹は他にも土地や賃貸マンションも相続する予定で、自宅だけ相続するＫさんから比べると楽に相続税は払えそうです。なのに、会社が利用する不動産を売却するというのは自分や夫に対するいやがらせのようにも思えます。

Ｋさんにとれば、姉妹の仲を裂くための遺言書だとしか思えないとのこと。

夫が養子にならなかったことが要因かもしれませんが、父親の考えだけでここまで非情にできるとは信じられず、全て妹夫婦の策略としか思えないのでした。