夢相続コラム
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【遺言を作る人のそれぞれの事情】先妻の子より後妻の子を守る遺言書
2022/11/25
【遺言を作る人のそれぞれの事情】先妻の子より後妻の子を守る遺言書
◆相続関係者
●遺言作成者 山田正晴さん・70代
●推定相続人 後妻、後妻の長男、先妻の長女、長男
◆家族と相続の状況〈複雑な家族関係で後妻の子がうつに〉
山田さんは先妻との間に2人の子供を授かりましたが、先妻と死別。その後、後妻と再婚して、長男が誕生しました。その間、後妻は自分の子供だけでなく、まだ幼かった先妻の子も育てなければならず、ずいぶんと苦労をしてきました。そのうえ、近くに住む山田さんの姉も頻繁に来ては我が物顔で振る舞うため、後妻と後妻の長男は、自分たちが住む家でありながら、どこか肩身の狭い思いをしてきました。
その後、先妻の長女は結婚し、先妻の長男も独立して、夫婦と後妻の長男の3人で暮らしてきましたが、複雑な家庭環境のためか、後妻の長男は次第に家に引きこもるようになりました。やがて鬱病となり、30代の現在も社会と関わりを持てないでいます。
◆遺言を作る理由〈先妻の長女が財産を要求しているため、後妻とその子を守りたい〉
最近、先妻の長女が訪ねてきて、山田さんに、自宅は自分がもらいたいと、今から要求してきました。山田さんがすぐには返答しないでいると、何度もやってきては、自宅をもらいたいと詰め寄ってきます。その様子を見て、後妻は将来のことをとても不安に感じたようです。山田さんは先妻の長女の要求を受け入れるつもりはなく、自宅は後妻と後妻の長男が不安なく住めるようにしたいという気持ちです。
山田さんは、夫婦揃って遺言書を作るために相続実務士に相談しました。確認してもらうと、自宅の土地と建物の評価は2000万円程度ですので、配偶者の特例を利用し、後妻に贈与することができるとアドバイスされました。婚姻20年以上であれば居住用の財産は2000万円まで贈与税がかかりません。贈与をすれば相続を待つまでもなく妻の所有となり、次に後妻の長男に相続させることができます。
この提案に納得した山田さんは、すぐに自宅を妻に贈与し、その後、夫婦ともに遺言書を作成しました。アドバイスを受けて、先妻の子供にはすでに現金を贈与してあることや異母弟の病状を理解してもらいたい心情を遺言書に記載するようにしました。
いまから自宅がほしいと言ってくる先妻の長女にとっては納得しがたいこともあるかもしれませんが、財産を持つ山田さんの意思が遺言書として優先されるため、一番の説得材料になります。苦労をかけてきた後妻が、これで安心できたとほっとしてくれました。
◆遺言がないと困ること
・後妻の長男は病気をかかえており不安
・先妻の長女がいまから財産を欲しいと言っている
・主な財産は自宅不動産で、後妻とその長男が住んでいる
◆相続実務士からワンポイントアドバイス
不言事項に分与の心情や願いを書いておくことは最後のメッセージとして最良の説得材 料となって相続人の争いを防ぐ。生前から財産を要求する人がいれば遺言書は絶対必要。
◆知って得する遺言のイロハ
遺言書に記載してあっても生前は自由に処分できるため財産がすでにないこともある。
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